甲類焼酎街道

デビッド・クローネンバーグのシーバースの甲類焼酎街道のレビュー・感想・評価

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クローネンバーグ映画に通底する精神性がよくわかる作品だった。
HGルイスの流れを汲むエクスプロイテーション映画の需要を満たしながら、それらとは一線を画す奥行きがある。
そのプロットには宗教的・哲学的示唆に富んだモチーフがあり、ヒッピーカルチャーに対するアメリカ人の自虐的アイロニーも含んでいるように感じる。エイリアンはこの4年後なので多少なりとも影響がありそう。

ラストに寄生された人間たちが車で街へ繰り出してゆくシーンは、すでに我々は「その後の世界」の住人なのかもしれないと思わせる演出だった。
内に秘めた寄生生物(欲望・狂気)が発露し、社会へ伝搬してゆく様は、いまに続く新自由主義の混沌を予見している気もする。