思った以上にジャンル映画っぽく撮られておらず、マイルドな仕上がり。「乗っ取られ」を疑いたくなるような個性的な顔(例えば『ヒドゥン』(87年)のカイル・マクラクランのような)は存在せず、きれいめ路線でまとめられたキャスティング。
ガブリエル・アンウォーの美貌さえ堪能できればそれでよいという見方はあるのかもしれないけど、いつの間にか映画史から忘れ去られてしまった彼女を、2023年の現在、改めて誰かに紹介するならば、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(92年)に出てるから先にそっち見てね、という話にはなるかな。
おっぱい以外に何か挙げろと言われたら「指差し奇声(ホワーッ!!)」になるのだけど、ラストの弟をヘリから突き落とすシーンにおける「指差し奇声」は観客に向かって「これは弟ではなく、怪物です」と念押ししているように見えてしまい、演出のぬるさを感じずにはいられないわけで。
この映画の視覚的主題は「お風呂に入っている美女が "もし触手に襲われたら" 」みたいなところにあるのだと思う。冗談っぽく聞こえるかもしれないけど本気です。