クシーくん

孫悟空のクシーくんのレビュー・感想・評価

孫悟空(1964年製作の映画)
4.0
昔サントリーウーロン茶のCMに使われていたキャラクターというとピンとくる諸兄もいるかもしれない。

監督の万籟鳴は中国初・アジア初の長篇アニメである「西遊記 鉄扇公主の巻」を製作した万氏兄弟の片割れで、
戦時下の厳しい状況の中で制作された「鉄扇公主」は交戦国である日本にも輸入され、手塚治虫にも強く影響を与えたという。
その万さんが戦後になって作ったのが本作である。鉄扇公主の頃はフィリックス・ザ・キャットや初期ミッキーにそっくりだった悟空は一転して、
京劇の雰囲気を色濃く残した良デザインに変わっている。
また、制作元である上海美術映画製作所のこの時期のアニメ全般に言えることだが、水墨画のような独特な淡い色遣いと滑らかな動きがとても美しい。

ストーリーは花果山水簾洞に住む山猿のボスである悟空が東海龍王の所持する如意棒を強奪する所から斉天大聖孫悟空が天界を相手どって大鬧(大暴れ)する所まで、原作の序盤を脚色等加えつつ無理なく描いている。

このアニメは当時中共から上映禁止にされたり、乱暴な悟空が毛沢東と同一視されるなど政治的側面から困難があったらしいが、
恐らくそれはラストシーンの解釈によるものなのかも。
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