荊冠

アンドリューNDR114の荊冠のレビュー・感想・評価

アンドリューNDR114(1999年製作の映画)
1.0
やりたいことは分かるし、映像も決して悪くないが、死ぬほど冗長でありきたりなご都合展開に終始しており、本当にあの『グレムリン』やハリポタシリーズを手がけたクリス・コロンバスの作品なのかと正直疑った。
人間性を求めたロボットが、家族を手に入れる、仲間を見つける。そして自ら技術革新を起こして本当に殆ど人間になってしまう。
小さな紆余曲折はあれど、実態はすべてがサクセスストーリーであり、どこかで頭打ちにならなければドラマではないのではないか?と思ってしまう。
これ以上望めないと分かってしまってなお人であることを望むからこそ、そこに本当の叙情が生まれるのではないか?

結局アンドリューがやったことは、自分に良くしてくれる人間に良く応対し、自分を分かってくれる仲間を探しただけだ。
そんな物語なら、ロボットでやる必要はない、人間同士のヒューマンドラマで済む。
本作が本当にロボットと人の関係を描きたかったのなら、アンドリューに友好的だった主人やリトル・ミスではなく、反抗的であったミスやその他人間との関係性の変化をこそ描くべきだった。
その結末が相互理解でなくても良い。向き合い和解することではなく、向き合う葛藤こそ人間の本質だからだ。
本作では一見向き合い葛藤しているように見えて、実はそれはすべて初めから上手くいくことが予感されている人間に対してしか行われていない。
それは「ロボットのサクセスストーリー」ではあるかもしれないが、「人間のドラマ」ではないのだ。

確かに「自分に都合のいい人間」ばかりを求め大切にする姿勢は、ものすごく人間らしいと言えば人間らしい。
そういう意味で「人間であることを望んだロボット」ということを描いているのなら、それはあまりに皮肉だろう。

役者も、主演のロビン・ウィリアムズ以外まるで棒立ちだ。

OPでロボット制作のマシンと連動してクレジットが動く演出や、アンドリューのメイクは良かった。
荊冠

荊冠