神から与えられた自然を、人間が搾取することは当然であるというキリスト教的な「予定創造」の思想から脱却し、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』をはじめとする自然保護の思想が高まりをみせた1960年代。
そんな時代を経たにもかかわらず、資本主義に伴う大量生産・消費は拡大を続け、環境破壊がいっそう深刻化する1970年代後半に製作された映画。
主人公のシャルルは、厭世的な美少年。環境破壊に不条理を感じながらも、プロテスタント的な思想にも、短絡的な左翼的思想にも乗り切れない。無責任な恋愛に興じてもモヤモヤが晴れることはない。
そんな彼が拳銃を手に入れたことで、物語は破滅的なクライマックスへと向かう。
文章にすれば仰々しい内容だけど、映画としての起伏はほとんどなく、淡々と描かれるストーリー。冒頭にエピローグを入れることで、わかりきった結末に向け、ある種予定調和的に進んでいく。
どこにも救いがないことを知り、絶望の果てに辿り着くラストは、彼にとって唯一の救済だったのかもしれないとも思える。