Jeffrey

パラードのJeffreyのレビュー・感想・評価

パラード(1974年製作の映画)
3.0
‪「パラード」‬

冒頭、ストックホルムのサーカス。

大勢の観客、子供、跳び走る団体、パントマイムするタチ本人、オーケストラ、跳び箱、賑やかな客席、ヒッピー。今、タチの遺作にしてパワー全開のサーカス小屋を舞台にした喜劇が幕を開ける…

本作はJ.タチの最後の作品にして、彼の原点であるパントマイムを存分に楽しめる映画で遺作だ。本作はめちゃくちゃ遊びまくっていて、尚且つアクロバットな演出が最大の見物。

それと観客の歓声だ。あのタチが殴られるパントマイムは凄い。いかにもヒッピーっぽい感じの音楽も映像に合ってる。

ところで映画が始まってからあまりにも画質が汚いので一体どういう映像の修復をしているのか調べたところ、元々パラードは2インチ幅のビデオテープと35ミリフィルム、そして16ミリフィルムとスーパー16ミリで撮影されたショットで構成されているのだが、どうやらオリジナルの素材は保管されていなかったらしく、修復はビデオのオリジナル素材からキネコで作られたインターネガを基に行われたそうだ。

それで納得した。

さて、物語はストックホルムサーカスでタチはその座長に扮し音楽やアクロバット、挙句の果てにはマジック等の出し物の合間に自身もパントマイム芸を披露する。

観客は笑いと興奮に包まれながら軈て観客たちも演目に参加してくる。

徐々に客席の境界が曖昧になり会場に一体感が溢れ出始める…とこんな感じの内容なんだが、兎に角、遊びに終始する映画で賑やかの一言だ。

可愛らしい子供たちや大人達の混乱的な画はまるで別の宇宙を見ているかの様な錯覚に陥る。

今回このボックスを購入して全て再鑑賞したのだが、もちろん短編は見たことなかったが、全てにおいて彼のスタイルの全貌を見た気がする。‬

‪ただ、遺作にしてユロ氏が出て来ない数少ない作品になってしまったのも、なんだがタチ自体がもうパラードが最後と決めた…思ったのかなと感じた。

余談だがパラードはパレードと最初勘違いしていたよタイトル…。まだ、未見の方は全てを通して観てほしい名作だから。‬
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