アベ二ティKazumaAbe

GANTZ:Oのアベ二ティKazumaAbeのネタバレレビュー・内容・結末

GANTZ:O(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

原作のファンです。

良かったところ

・原作要素をコンパクトに纏めたストーリー:ガンツ特有の、高校生、ヤンキー、イイ女が不条理バトルに放り込まれるシークエンスを短く丁寧に活写。シリーズファン以外も入り込める内容になっていながら、原作既読の人もちょっとびっくり&納得できるアプローチでの大阪編・映像化の手腕に驚く。技ありって感じです。

・星人・スーツの質感…CG屋さん凄い。毛や鱗などの皮膚、おっぱいの量感に至るまで凄まじい。

・漫画コマ再現度の高さ:人物の配置からカット割り、スロー表現まで原作をとことんリスペクトした画作りにも驚く。ストーリーの若干の改変が気にならないのもこの画の力あってこそ。多少オミットされた部分も勝手に脳内の原作で補完されるほど、原作そのままの印象。

・声優陣の熱演:主要キャストはかなり良い線、お笑い芸人ズは言われるまで気づかないレベル。凄い。原作のキャラまんまだね!と膝を打った。


残念だったところ

・PG12のレーティングに際してか、レイプ、薬物や過激なゴアはカット。それら役割を背負っていたキャラクターもごっそり省かれていた。そういう要素もガンツ原作の目玉だと思うのでちょっとがっかり。あと、ロマンスの輝度もそれに伴って減。無法モードでエンジョイするヤカラの描写があって、一方で加藤と杏ちゃんの純愛エピソードがある、この対比が好きだったんだけど非常に残念だなあ。いくら音楽で盛り上げにかかっててもちょっとしょっぱかった。

・原作カットの再現率は高いが、アクションの高揚と直結するものだったか?といえばうーん、というものも。「あっ、そこアップで見せるんだ」「そこでスロー使っちゃうんだ〜」と、ちょっとテンポを危うくするというか臨場感を損なうようなシーンもちらほら。あと、(原作愛読者としては)見せ場が漫画と大体同じなのでそこまでの緊迫が感じられ無かったのも残念。逆に原作との差異を感じ物足りなく感じる箇所も目立った。

・メガネ君の不在:大阪編では加藤の側に準主人公的なメガネ君がいた。地獄的状況から逃げ出したい「一般人」的視点を担っており、加藤の姿を目にして奮起するところまで別冊で描かれていたのだけど、今回は彼のような人物が不在、結果加藤のヒーロー性に強くスポットが当たったためにやや感情移入しづらい感じに…。

・原作よろしく、もっと滅茶苦茶な特性のキャラクターがいても良かった。原作漫画は超能力者にヴァンパイア、実はエイリアンも共存している世界ですから。そういうごった煮・SF闇鍋感ももう少し欲しかった。

・挿入楽曲の「?」感。感覚的な問題なんだけど、タイミングがちょっと変というか、若干上滑りしていた気が。ラストドレスコーズの主題歌の入りもあれで良かったのか。一緒に観ていた友人は「曲が電子音ぽい、ゲームしてるみたいで嫌だった」と言っていた。

諸々を鑑み、結論から言えば『GANTZ』1/3と言った印象です。なんだかんだ言って今回の3DCG版、11年の実写版より大分好きなのでもっかい隅々まで舐め回すように観たいです。もう一回とは言わず何度でも。