カムイ

26世紀青年のカムイのレビュー・感想・評価

26世紀青年(2006年製作の映画)
3.7
軍の秘密実験により500年眠らされた主人公。ゴミの山で目覚めたら世界中がバカに支配されていた。なぜなら賢い人々は慎重さゆえになかなか子供を作ろうとしないが、バカはバカなのでどんどんヤリまくるし孕ませるしボコボコ産みまくるから…!!

そんなわけで21世紀で事務をしながらテレビを見ていた平凡な主人公は、バカたちしかいない世界で超天才ともてはやされ、人類に襲いかかる未曾有の食料危機から彼らを救うよう、ときの大統領(ロッカーでありポルノスターのマッチョ)から厳命されるのです。植物が枯れはてた原因は水の代わりにゲータレードを散布してたから。つまりどうすればいいのか観客も一緒に考えてみよう。天才なら未来を救えるはず!

一番笑ったのはバカたちに囲まれた未来で会話の通じなさに絶望した主人公の男女がアインシュタインに思いを馳せるシーン。
「アインシュタインもこんな気持ちだったのかな」「かもね。だから絶望して原爆を作ったのかも」
ねーよ!!……って言い切れないのが怖い。これぞ一般人の発想って感じで好き。

バカしかいないのに政府も警察も企業も存続しているのが不思議に思えたけど、それは劇中で描かれた未来のバカたちの生活様式を見れば次第に明らかになってきます。人をダメにするソファーのデラックス版みたいなやつに腰かけたまま、口をアーンしてれば自動的にドリンクをチューチューさせてくれるロボットアーム、流れ続ける低俗な番組はケツとセックス。うんこちんちん。ジャンクフード店はもちろんコーヒーショップまでもがご奉仕サービス付き(性的な意味で)。ゲーム大会で優勝すれば子供でも大臣になれるけど、なんといっても人気はポルノスター!
経済? 株式? そーゆー難しいことはなんかコンピュータが勝手にやってくれてるっぽいよ!(劇中にちらっと言及されてますな)
おそらくその理屈で電力の供給や下水道といったライフラインは自動管理されてるのでしょう。ゲーマーがいるなら多少難しい操作もいけるはず。

えっこれやばくない? ありえない荒唐無稽の話じゃなくて普通に、今考えられる最悪の未来の可視化じゃない?
笑いながらふと脳裏に人類の未来に対する一抹の不安がよぎってしまう、そんな愛すべきバカ映画でした。SFファンにもそうでない人にもぜひ。月曜が来るのか憂鬱な日曜の夜に観るといいかもです。
カムイ

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