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マイ・ライフ、マイ・ファミリーのザのレビュー・感想・評価

4.0
ありがとうタマラジェンキンス。こんなフィリップシーモアホフマンが見たかったというくらい完璧な哀愁を醸し出す彼の佇まいは素晴らしい。かつて暴力的だった父親は身寄りも力も無い老人となり、そのケアをせざるを得なくなったミッドライフクライシス真っ只中の中年の子供たち。子供時代に受けた虐待によるトラウマや憎しみはあるだろうが、目の前にいる父親は介助が必要な老人である事に変わりはなく、その気まずさや居心地の悪さが良い塩梅で描かれており、ヒリヒリした気持ちを抱きながら見てしまった。あらすじに書いてあるようなかつての父の虐待について直接描かれている訳では無いが、父と子供たちの絶妙な距離感や父の気を惹こうと必死なウェンディの態度やラストの演劇で暗に提示されている程度でも彼らには確実にトラウマがあるんだなということがわかる。自分たちの過去や現在に向き合って少し光が見えたラストは良かった。フィリップシーモアホフマンが存在しない世界未だに信じたく無いよと改めて思った。
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