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イングロリアス・バスターズのmolysicsのレビュー・感想・評価

3.7
メモ

to be or not to be 生きるべきか死ぬべきか

クエンティン・タランティーノは『イングロリアス・バスターズ』の脚本執筆に10年以上を費やした[3]。主演したピットによると、タランティーノが脚本を書いていることは公開8年前からハリウッドでは神話になっていたという[8]。タランティーノはインタビューで、「エピソードにちょっと凝りすぎた」と語り、ストーリーが広がり、長くなりすぎたせいだとその理由を説明した[3][9][10]。タランティーノは脚本の執筆を通して映画が傑作になると感じており、今まで書いた中で最高のものになるだろうと考えていた[11]。タランティーノによると、脚本を章立てしたおかげで、異なるタイプの映画のタッチを『イングロリアス・バスターズ』という1本の映画に詰め込むことが容易になったという。第1章と第2章は、マカロニ・ウエスタン、第3章ではフランス映画やエルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』のようなタッチがあり、第4章と第5章は、『特攻大作戦』のような1960年代中盤の戦争アクションっぽくなっていると語った[3][7]。映画公開を控えたインタビューでは、『イングロリアス・バスターズ』とは「俺がつくる『特攻大作戦』とか、『荒鷲の要塞』、『ナヴァロンの要塞』みたいな作品だ」とも答えている[12]。また、彼の作品の特徴とは観客が思いもよらないところで笑うことであり、そのことを狙って映画作りをしていると語った[13]。『イングロリアス・バスターズ』とは「名誉なき野郎ども」の意であり、その設定はタランティーノ独自のものである。タランティーノは、『地獄の黙示録』の脚本を手がけたジョン・ミリアスに尋ねるなどしたが、バスターズのような部隊が実在したかどうかは分からなかったという[7]。映画では、ショシャナとランダが向き合って食事するシーンなど、緊迫するシーンが最後まで随所に見られるが、タランティーノは「こんなに緊張が続く作品は初めて。ヒッチコック的だと思う」とコメントした[7]。
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