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宮廷画家ゴヤは見たのmokaのレビュー・感想・評価

宮廷画家ゴヤは見た(2006年製作の映画)
3.8
ゴヤについては「五月三日の処刑」という有名な作品しか予備知識が無い状態で見たのだが、聴力を失ってしまったからこそ、目に見えるものをより鮮明に感じ取れ、あの様な名作を描けたのだろうと感じた。劇中の前半では彼の絵の評価はあまり高くなかったが、あまり絵に詳しくないので何故かを明確に示してもらいたかった。(推測だが、おそらくその当時の彼はまだ聴力があったために本来の彼の感受性が十分に発揮されていなかったということだろうか。)
この映画はある種の宗教映画だと思われたが、ナタリーポートマン演じた少女の様に純粋に神の報いを信じる者もいれば、ハビエルバルデム演じた教父の様に宗教を利用し、宗教という概念が本来もつであろう意味を蔑ろにしている者もいる。
宗教のせいで少女は理不尽な仕打ちを受け精神を狂わせ、教父は挙句立場を失い、ナポレオンは戦争まで起こしてしまう。ナポレオンに関しては、スペイン民衆のために起こした戦争が、ゴヤの絵に現れているように民衆の反感を買ってしまう。(実際ナポレオンは教会が行う異端尋問から民衆を救うためというのは建前で、本音は王政の確立のためだったのだが。)
常々感じていることだが、宗教の意義について考えさせられる映画だった。
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