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ココ・アヴァン・シャネルのCATHATのレビュー・感想・評価

ココ・アヴァン・シャネル(2009年製作の映画)
3.5
ココ・シャネルのファッションにどっぷりというわけでも、盛り上げようとすればいくらでも盛り立てられるシャネルの一生をダイナミックに描くというわけでもなく、フランス映画らしい、美しく淡々とした映像の中で、自分のスタイルを手探りする、若き日のシャネルの姿を観られる作品。

周囲が『マイ・フェア・レディ』や『タイタニック』の如く“優美な”S字ドレスと巨大な帽子で身と頭とを飾る中、男性服をリメイクした軽装で歩き回ったり馬に乗ったり。当時のスタンダードが『マイ・フェア』なわけだから、そりゃ周りの男も女もビックリするのは当たり前だ。その劇的な相違を同じ画面の中で観ると、どれだけシャネルが驚くべき存在だったのかが分かる。

白・黒を基調とした色温度の低い孤児院から始まり、猥雑な酒場、パトロンの屋敷でのお祭り騒ぎのシーンはごちゃごちゃとした暗褐色。海辺の青みの強いシーン。そしてクライマックスの“シャネル”カラー。色彩に配慮が行き届いていて、観ていて気持ちが乗せやすい。冒頭の貰われていく少女たちや姉と離別して一人で唄うシーンのドレスなど、時折挟まれる赤にはどういう意味があるのだろうか。
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