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山椒大夫のimpreのレビュー・感想・評価

山椒大夫(1954年製作の映画)
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古典映画を見るきっかけになった映画でありかつ、今振り返っても人生で1番感動した映画。
有名な入水シーンの、湖に降りていく安寿、それを見送るお婆さん、お婆さんに向かって合掌し水に入る安寿、安寿に合わせて合掌し体を震わせながら膝から崩れ落ちるお婆さん、波紋が広がっていく湖、というカット割りの完璧さ。お婆さんの体の震え方がこの場面の悲痛さを完璧に物語ってる。というのも、このシーンを見ている観客もお婆さんと同じように体が震えてしまうだろうから。
安寿が完全に水に入る瞬間を映さないのは、ラストシーンで再会を果たした母と息子が抱き合うのをパンでオフにしたのと同じように、溝口の登場人物たちへのリスペクトを感じる。
エリセがこの映画を見て「人生より大切な映画があると知った」と言ったけど、本当にこの映画は人生そのものよりもすごい。この映画以上に心を動かされる映画はないと思うけど、動かされすぎるので何回も見るのに向いてる映画ではない。
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