山椒大夫の作品情報・感想・評価

「山椒大夫」に投稿された感想・評価

naotoono

naotoonoの感想・評価

4.1
「青年」で鴎外が「山椒大夫」を執筆するに至った経緯から原作までバッチリ読んで万全の状態での鑑賞。
骨身に沁みた。
umeko

umekoの感想・評価

4.2
すすき畑を横切るシーン、モノクロの水面、美しすぎる…

やるせなくて観終わったあとぼろぼろになる。
安寿、抱きしめてあげたい

溝口映画の深み…
ペイン

ペインの感想・評価

3.7
あのゴダールも惚れ込んだ溝口映画の代表作。

「気狂いピエロ」で本作はオマージュされてますね。

正直、「気狂いピエロ」のような衝撃はなかったが香川京子の演技には痺れた。
aoi

aoiの感想・評価

3.7
白黒映画で写る水は本当に美しい。
けれど、この映画での水はやるせなさと非情さも帯びていて、あまりに物悲しい。

人身売買、奴隷、どの時代にも自分の意思とは関係なく犠牲になる人たちがいる。
搾取する側である「山椒大夫」がタイトルになっているのは、悪がはびこる仕組みに焦点が当たっているからだろう。
「太夫」という身分を表す名前も皮肉で、社会秩序から離れたアウトローな悪よりも、社会の仕組みに上手にとけこむ組織的な悪の方がタチが悪い。

名作には違いないけれど、こんな悲しいお話はもう観たくないなぁ…
直接的なグロいシーンはないものの、映さないからこそ悲痛でたまらない。ただ出来事を観るよりも、痛みを想像するのは体験することと近い気がする。
揺れるススキ、入水のシーン、美しい絵画のような感動のショットはあれど、悲しみなしには鑑賞できないね。

元の説話「さんせう太夫」はもっと残忍な展開だそうで、森鴎外は自分のものとして書いた時にむごい部分は削ったのだとか。これでもかよって感じだけどな笑
そういえば大学でこれのレポート書いたはずだけど、Wikipediaであらすじ調べて書いたから内容全く覚えてなかったわ。


# 261/2018
はぁー、疲れた。

一つ一つの絵づくりが、細部に至るまで尋常じゃないほどこだわりまくってて、気が抜けない。休憩スポットを与えてくれないところがむしろマイナスポイントかと思ってしまうくらい。

山椒大夫って、そっかそっか、悪役がタイトル。森鴎外のやつね、ぜんぜん覚えてない。なので目を見開いてこの映像に身を委ねるのみ。

世の中の不条理を描いて、メッセージが強めでガンガン前に出てくるのに、カメラは後方に引いて全体を捉えてる。この美的感覚は、なんたる芸術性の高いこと。特に、水辺と舟の幻想的な絵は圧巻だった。

このレビューはネタバレを含みます

主役ではなく、敵役の名前をメインタイトルに持ってくるセンスよ。
主人公である弟の、世知辛い世を乗り越える姿や成長、勇敢な行いに焦点を当てているのなら、タイトルに『陸奥若』とでも付けただろう。
でもそうじゃない。
あくまで描きたい根源であり論点にあるのは、このパッサパサの白ひげ悪たぬき"山椒大夫"が象徴しているものだ。
今の世の中の"山椒大夫"は誰(何)だろうか。

この物語は平安時代が舞台であるのに、戦後の日本でも現代の日本でも考えた時に通じるもの、共感が得られるものがいくつもある。
理不尽な法と政、人の権利と平等、過重労働、家族愛、犠牲など、描かれているどの面を切り取ってみても何かに置き換えて考えさせられる。
そのメタファーとなるものが説得力を持って存在しているかどうか、そこが、優れている時代劇と、雰囲気やスペクタクルだけの陳腐な時代劇との、大きな差だと思った。

姉の入水シーンは特につらい。
首吊りや飛び降りは一瞬の行動だけを思い切ったら、やった後で死ぬのが怖くなっても、逃げられないようにしてあれば身を任せて死ねる。
入水は、本気で死のうとする意思と努力が必要だ。水が肺までいき意識が飛ぶまでの苦しい時間は、どれほど長く感じるのだろう。
誰にもひき止めようがない姉の決意は、情景からも分かる。それを見届けている老婆は震えているのに、姉は一切身震いせず入っていき、水面に波紋ができるだけ。しかもその波紋が凛としていて、決心の固さがより伝わる。
そして大量の泡ぶくで、もう助からないことを観客は思い知る。
どの情景描写も目を見張るものがあるが、特にこのシーンは異常に無情で素晴らしい。

最初に主人公が持たされる父の形見の観音は伏線となり、後々、展開の重要なタイミングで二度も助けてくれる。見せかけだけの無駄な小道具なんて一切無い。
引き裂かれた母子の残酷な運命を中心に、奴隷差別、菩薩信仰、命の尊さなどを描いた森鴎外原作の映画化。売られた先の大地主が山椒太夫、つまり悪役がタイトルとなってる。姉弟にスポットを当てた「安寿と厨子王」を予め見たので話はスムーズに入る。映画では兄妹に変えている。

庭園の石のショットから始まる。笛の音色が効果的に悲劇性を引き立てる。全部がロケに感じるほどセットの作り込みと編集が凄い。終盤の奴隷解放の開放感を感じる横スクロール、そしてラストの海辺でのじっくり見せるカメラワークは両者の想いがダイレクトに伝わる心震える名シーンとなった。

若い厨子王役の津川雅彦が幼くて可愛い。山椒太夫が焼きを入れる描写の直接見せなくても伝わる残酷さ。衣装とかセットとかカメラアングルとか作り込みがとにかく緻密だから、役者の叫び声に凄くリアリティがある。唄を聞いて母の生存と場所を知る姉の心境を長回しで魅せる。無縁な人の亡骸を山に捨てる風習が興味深い。妹の入水場面が日本らしさを映像で感じられる一番好きなシーン。遊女たちが皆生き生きとしてる。田中絹代の、にっぽんのお母さん感が強い。水の真ん中にいる妹の背中をとらえたジャケット写真を見るだけで涙が浮かぶ。
リベレーションが一つのテーマ
フランス人が好きなのもわかるかも

厨子王が屋敷から出てきて奴隷解放宣言するシーンに圧倒された
BGMとかないんだけど、民衆のすすり泣く声(エキストラの数がすごい)がとっても効果的

嫌なことばっかり起きるからげんなりしちゃうけど、やはり傑作と謳われているものは並大抵ではないのねって思った
Lisa

Lisaの感想・評価

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大傑作だがしばらく観たくない…。くるものがありすぎて、点数つけるのも気が引ける。

安寿の入水、そして祈る老婆の流れに鳥肌止まらず。「雨月物語」の湖のシーンは美しいなぁと思ったけど、これはそれを飛び越えてるというか、映像が凄みを帯びているというか…。余計なエフェクトを使わなくても、人間を幽霊のように撮れるのだなと思った。
時代劇ってだけで避けてたけど、話も分かりやすいし、何より想像以上に聞き取りやすくて驚き。溝口作品もっと観てみよう。
アサギ

アサギの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

すすきの野のシーンや入水のシーンが特にうつくしかった。揺れるすすきと広がる水面。
拐われる晩に寝所を作るために枝を折るシーンと成長した二人のシーンとの対比は感動した。
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