ヨコハマはジャズの街ブルースの道、
そしてメリーさんが暮らした地。
なぜメリーさんがメリーさんとして居続けたのか、その記録手法は都市伝説に誘われる我々の好奇心を猫のように導きながら謎を紐解いていく。
"ハマのメリーさん"を取り巻く人々、そこから形創られていく彼女の生き様、彼女が手紙にしたためた優美な字体から漂うのは愛した男を待ち抜いた女の、昇華された美しき悲哀である。
戦後異文化の絡み合う混沌の中を生き抜いた人々の強かさ、渚ようこの『伊勢佐木ブルース』は軽重の狭間を移ろいながらその温かみを我々に染み渡らせる。