らりる

ゴースト・オブ・ミシシッピーのらりるのレビュー・感想・評価

3.8
30年前に審理無効になった事件の再審をめぐる実話を元にした作品。
まずタイトルから、ホラー映画だと思ってしまった…監督も『ミザリー』の方だし。

60年代に、ある黒人男性が暗殺される。
すぐに白人至上主義の男に容疑がかかるが陪審員は白人だらけ、判事も差別主義者だったため裁判は審理無効になってしまう…しかも町の人達まで容疑者を黒人殺しのヒーロー扱い。
事件から30年後、殺された男の妻が再審を求め弁護士の主人公の元を訪れて…

主人公ボビーがこの事件の調査を決意した理由が良かった。
殺された男性と自分を、同じ子を持つ父親として重ね、肌の色ではなく同じ人として相手の事を想えるって、当たり前の事なんだろうけど当時の状況を考えると、その小さな気持ちも素晴らしく思えた。

しかもボビーの両親も妻も義理の両親(義父は犯人を釈放した元判事)も、白人至上主義よりの思考の人間ばかりなんだよね…

ボビーの父親が話す『法律上では平等でも感情的には差別は永遠に残る』って言葉も印象的。

人種差別の作品を観ていつも考えるけど、もし自分が生まれた時から黒人差別が当たり前の環境で育った白人だったなら、白人至上主義者と同じ思考になるのだろうか…

この作品に出てくる白人の老人達を見ていると、彼らが悪いのか時代が悪いのか考えてしまう。

犯人役のジェームズ・ウッズさんは特殊メイクなのかな?当時こんなに爺さんの年齢じゃないよね?唇の色まで白くて、そこまで白人至上主義徹底してるの?って思いながら観てたけどメイクだったのよね?
映像の古さも相まって、リアル感ある!

本当に憎たらしい白人至上主義ジジイの演じ方も見事だった。
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