冬のナマズ

天使の入江の冬のナマズのレビュー・感想・評価

天使の入江(1963年製作の映画)
3.8
円盤で転がる球の不確定な動きに一喜一憂する賭博師と、たとえば『赤ん坊の食事』(1895)で木々の不規則な揺らぎに歓喜した観客は、どちらも人間のコントロールが及ばない世界の素顔を目撃している。


イカサマという作為を放棄し、あくまで偶然を重んじる賭博師は、人間の意図が介在し得ないという意味において自然現象に直面しているに等しい。そのときの彼女/彼は、たしかにギャンブルを神的なものとして捉えているし、さらに踏み込んでいえば映画の神秘なるものも信奉しているといっていいかもしれない。
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