H4Y4T0

ワイルド・アット・ハートのH4Y4T0のレビュー・感想・評価

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)
4.0
「カルトの帝王」デヴィッド・リンチ監督の第5作目にあたる作品。
暴力と性欲に塗れたカップルの“愛の逃避行”を狂気に満ちた演出で痛烈に描くロードムービー。
冒頭から既にパラメーターのバランスが破綻しており、中盤あたりまではもう何が何だか…。

児童文学作品『オズの魔法使い』をオマージュしたかの様な空想的なストーリーが本作の肝。
凡そ6:4くらいの割合で性描写と暴力描写をぶっ込んでくるあたりがなんともワイルド。
方向感覚を見失いそうになりながらも、お涙頂戴ものでは決してお目にかかることのできない異質な感動を味わうことができた。

主演はニコラス・ケイジ。当時26歳、髪の毛がフサフサで何故かホッとした。
相手役のローラ・ダーンは『ジュラシック・パーク』主演時の印象ぐらいしか無かったが、よくよく調べてみるとルーラの母・マリエッタ役のイザベラ・ロッセリーニとは実の親子で、なんと父親は『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』にて”宝クジおじいちゃん”を演じたブルース・ダーンであることが判明した。
言わば映画界のサラブレッド女優、若気の至りか年端もいかぬ娘が惜しげも無く裸体を晒しベッドシーンを熱演する様に唖然。その血筋はゲンズブールファミリーに負けず劣らず、親子共演というだけで胸が熱くなる。

パルム・ドール受賞も頷ける、十分に納得のいくラスト。
先日『エレファント・マン』を鑑賞したばかりだったので、カオスな内容に思わず拍子抜けでしたが、まぁこれもデヴィッド・リンチらしい作品と言えば”らしい”のでは。
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