患者の命と真摯に向き合う医師が、心の交流の果てに求められた願い。
病を治すことだけが医師の使命なのか。医師も一人の人として、一人の人である患者が、穏やかに、静かに逝くことを望んではならないのか。願いに応えることは罪なのか。
終末医療の現場。尊厳死を、法と権利の題材にする作品が多い中、人が人の願いに応えるという、プリミティブなテーマに昇華させた本作の重さと、清らかさに魂が震えた。
そして、それだけに、臨終の時に起きた厳しく衝撃的な出来事と、医師としてとるべき判断、そして、作品後半に突きつけられる現実が、見ていて辛く、心が締めつけられる想いだった。