終の信託の作品情報・感想・評価・動画配信

「終の信託」に投稿された感想・評価

朔立木の同名小説を映画化したヒューマンドラマ。

重度の喘息患者から、最期のときは早く楽にしてほしいと頼まれた医師。終末医療がどうあるべきかという重いテーマを描く。
もやし

もやしの感想・評価

5.0
ついにこの問題作を…見てしまいました…
まさに地獄。この世の果て。これが大規模公開されていたなんて信じられない。
だが感動。これは自分が昔から考えていたテーマだ。
すみません5点つけたくせに「あの」シーンは早送りしてしまいました…直視できない…




主人公である女医が、長年気管支の病気で苦しんでいた患者に頼まれて、尊厳死をさせようとして結果的に殺人の疑いをかけられる話。


この女医さんがちょっと何というか危うい雰囲気を放つ人。
将来結婚すると思ってた男から手痛くフラれて、自殺未遂して。
そのとき励ましてくれた患者さん。


患者さんの人生観が何とも詩的で。思わず聞き入ってしまう。
このまま海岸を歩き続ければこの苦しみもなくなってあの思い出のマンションに…って話はもう何とも言えない。



この映画で俳優賞も取った大沢たかお演じる検事の迫力がすごい。
主人公のフワフワした人情的視点を、法的視点にすり替えて詰め寄るところは怖い。
でも主人公にも主張はあって、かなりの論戦になります。


人生を生きることが極めて苦しい状況の人が死を望んではいけないのか、というのは視点は違えど(視点が違うとちょっと問題なのですが…)私もずっと考えていることですが、わからないですよねどうしても。



オペラの名曲の「私のお父さん」が何度も流れますが、これが本当に物語を深めている。地獄の中にある僅かな切なさ。
人が大切にしている思いとは。人が真に尊ぶべきものは何か。考えてしまいます。

主演の草刈民代さんがとてつもなく魅力的でした。
後半の検事とのやり取りが長く扱われて、女医と患者との確かな信頼関係は充分理解できるものの客観的な状況だと女医の判断は家族を納得させるには不十分で弱いという印象を与えてしまう
観る者に問題提起する周防監督の狙いというか意図を感じて見応えがありました
とし

としの感想・評価

3.3
2020年2月22日

#終の信託 鑑賞

喘息の重症患者から、危篤の場合安楽死させてくれと頼まれていた医師が、その処置を殺人罪として立件される。川崎協同病院事件というのがモデルらしい。
安楽死と嘱託殺人って難しい問題がテーマ。ダンスをしてるばあいではなくなっていたか。
道ならぬ恋に疲れた女医と闘病に疲れた男。互いの心の癒しとなり惹かれあった二人が交わした約束の果て。安楽死の是非を医療と司法の両面から問う社会派人情劇。タイトルが好き。「それでもボクはやってない」を観れてないので、これまで好んで観てきた周防監督作品のトーンとのあまりの違いにビックリ。草刈民代が演じた女医が不憫でならない。彼女と「Shall we ダンス?」以来の共演を果たし、重度の喘息患者を演じた役所広司の発作のシーンが壮絶で迫真。人は喘息で死んだりするんだな、怖い怖いと軽い喘息持ちとして身につまされつつ、それ以上に検察怖い。自分が取り調べを受けてるような緊張を感じた。あんなに圧迫されるんだぁ。一生お世話になりたくない。問題提起としては意義深い仕事だと思うし、例によって大変勉強になったが面白いかと問われるとそうでもない。
ぽち

ぽちの感想・評価

3.4
モデルとなった川崎協同病院事件をもっと医師よりの物語にして、検察の示す見解と対立させている原作小説の良さを上手く取り入れている。

それに医師を女性とすることでロマンス色も出している所も映画としても面白味を増している。

深く考えさせられる問題ではあるが、今作で言うとあまりに医師が準備不足で、個人の感情だけで動いているのがすべての原因だと分かり、検察の主張が正しい。
リビング・ウイルをとり遺族に説明をきちんとすれば避けられた事態だ。

伏線として病院の権力争いや検事の思惑などをちらつかせているがこれはちょっとやりすぎだし焦点がぼやける一因。

一番残念だったのが検事役の大沢たかおの演技。多分監督の演技指導もあったのだろうが、あまりにピーキー過ぎる。声を張り上げ、脅しすかし・・・とやり過ぎ。実際もこんな物かもしれないが、まるでチープな刑事ドラマのように見える。これでカツどんでも食べ始めれば大笑いだ。

キャスティングに問題があるのだろう。女医を追いつめる役として、個人的には初老の落ち着いた紳士が合っていると思う。怒鳴りあげたりするのでは無く、理論的に冷静に医師と意見を戦わせて欲しかった。

問題提起としてよい作品だ。
otomisan

otomisanの感想・評価

4.5
 民代が江木殺しを最後否認しなかった検察での場面に変にもどかしさを覚えた。患者の心中に深く触れてしまう? 恋心と云うのか。居なくなられたらどうしていけばいいだろうと思うような相手なんて中々おるまい。脳死の瀬戸際にあって二度と語ってくれない相手で、意識はなくとも同じ痛苦を分かっている、それでも状況を見返せば殺した部類になるなら... 殺意の否認を続ける方が余程心に澱が溜まってきそうな気がした。
 民代にとって江木が大事な人になる経緯を見てきた者には検察の尋問は真に味気ない。しかし、物語の外の事ながら、こののち続く尋問でも、江木との交流の経緯を民代は口外するまい。それを誰のためとも問うまい。また、いきさつを知らぬまま闘病日誌を提出したのは細君の民代への感謝であったろう。裁判で民代の本心を曝して真実をかき乱し、あたら人の心を荒らす事が無い終わり方がよかった。
 恋心と言ったものの、江木にとってはどうだったろうか。二人、河口からの戻りで一歩立ち入ってきた民代をどう迎えたか知る由もないが、互いに何も言わず民代から襟巻を自然に受け取る江木。日誌の延命を断る件はまさにこののち記されたのだ。
公開舞台挨拶の時の感想です。前から3列目なのにI列とはこれいかに?舞台挨拶は、見やすいが、映画は観にくい事この上ない。長時間耐えられるか心配であったが、笑わせない周防監督作品は、非常に重い問題の映画であった。フジテレビの良心といえる周防作品の製作は、今後も続けてほしいものです。医師と患者の純愛と検察の取調べ、そして尊厳死と盛りだくさんの映画だ。冒頭の主人公女医が不倫相手に捨てられるシーンとか要らないんじゃないかと思います。江木と折井の純愛の過程をもう少し丁寧にしてほしい感じだった。草刈のアップも多いんですが、あんまりきれいに撮ってない。そこが、かえってこの映画のリアル感がでてくる。小津を尊敬しているだけあって医療行為をしている時の時間経過はカットが変わっても正確に経過するようにしている。何よりも驚くのは、後半を大半使う検察庁のシーンだ.大沢たかおは、がんばっている。殺人罪で追い詰めていく過程が克明に描かれる。しかも淡々と。このシーンは、近年の日本映画では観たことがないほどの緊迫したシーンであり、権力の怖さも感じるシーンであった。このシーンを見るだけでもこの映画は、価値がある。ラストの種ともこによるテーマ曲は、フジテレビの陰謀だろうが、プッチーニで締めるべきであったんではないかと思う。
舞台挨拶は、映画と違って明るく笑いがこみあげる内容でしたね。しかも随分長い舞台挨拶で珍しかった。田代尚子アナの司会で始まるが、美人。草刈民代は、顔が小さい!最期に監督自身がカメラで観客を全部写すというフォトセッションを行っていい人だなあと思いました。監督のバースデー・ケーキもあり、草刈民代の男前な性格も良くわかり楽しかったですね。
りっく

りっくの感想・評価

4.5
本作は大きく分けると2部構成になっている。
第1部は安楽死までの「物語」。
第2部は「物語」の再検証。
第2部は第1部という「材料」に基づいて、裁きを下し、この事件についての落とし前をつける。
だからこそ、観客に求められるのは検事の助手と同じような立ち位置から、この「物語」をジャッジメントする視点だ。

第1部は医師と患者のラブストーリーのように見えるが、登場人物に感情移入する必要はない。
感情を持った生き物である人間同士の関係性を描き、観客はそんな2人が紡ぐ「物語」を目撃する。
その「物語」に沿っていくと、何となく安楽死まで疑いなく「スーッ」と観てしまう自分がいる。
けれども、患者を苦しめず、早く楽にするための措置だったはずなのに、患者はなかなか死なず、苦しみ、もがき、痙攣を起こす姿を執拗に見せる。
仕舞いには医師が薬を大量に投与してようやく死なせるのだ。
最期になって周防は観客に疑念を抱かせるのだ。

第2部はまず医学的見解と法的見解がぶつかり合う。
それは、個人的感情を排除した客観的で冷静な判断だ。
だが、医師が専門用語を並べていけばいくほど、検事の言葉の力強さに比べて上滑りしていき、形勢は不利になっていく。
そこで医師は個人的感情を挟み込み、「物語」を語り出す。
彼女が語り出す「物語」は、観客も実際に観てきた「事実」だ。
しかし、感情的になればなるほど、説得力の希薄さが浮き彫りになるのだから恐ろしい。 
 
ここで彼女の供述が「あっという間」に調書となり「事実」として読み上げられる場面が素晴らしい。
検事のアップからカメラが徐々に引いていき、どうすることもできない医師の背中を暗がりの中から映し出すショットは、とてつもなく恐ろしく、それでいて信じられないほどエレガントだ。
取調室での両者のスリリングなやりとりは、「あっという間」の恐ろしさを、これ以上ないほど見事に演出している。

だが、周防は検事側にも個人的感情が差し挟んであることを決して忘れない。
世間的に注目の事件であり、だからこそ自身の出世にも影響が出る。
医師を待合室でわざと待たせ精神的に揺さぶりをかけ、取調室では声を荒げるタイミングを見計らっている。
そんな検事の狡猾さを、トイレでの助手同士の何気ないやりとりから描いているところが偉い。
映画全体の完璧な構成、きちんとした問題提起、そして主観と客観の見事なバランス感覚。
周防正行はやはり只者ではない。
sakura

sakuraの感想・評価

3.3
草刈民代は他の女優にはない独特の魅力があって個人的に好き。
検事の取調べのシーン。誘導尋問が巧妙すぎて本気で怖くなった…。
医療に携わる人にとって、何が正しいのか、とても難しい問題だと思った。
※以前WOWOWにて。
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