ササキ

Peaceのササキのレビュー・感想・評価

Peace(2010年製作の映画)
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ドキュメンタリーの監督は自分をなるべく透明な存在として映画の画面に登場しないように振舞う姿勢が多くあると思うんだけど、時折、無垢な被写体がそうした意図を気にせずにカメラを持つ人物に向かってくることがある。被写体のおばさんが監督に防虫スプレーをかける時、劇映画であればかけられる人物を映すはずが、ドキュメンタリーのこの映画では、カメラは本来映すべき対象を捉えられずに宙吊りにされる。『ホームレス理事長』で理事長が撮影スタッフに金を貸してくれと土下座する場面とか、被写体が撮影者に向かってくる時のフィクションとドキュメンタリーの境界が曖昧になり空間が歪む異様な時間の流れは「映画的」と言えると思う。
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