Peaceの作品情報・感想・評価

「Peace」に投稿された感想・評価

NOOO000ooo

NOOO000oooの感想・評価

4.0
演劇に引き続き想田監督観察映画。観察対象は「この世界の〜」のすずさんのような暖かい方言が素晴らしい岡山でボランティアをしながら暮らす柏木夫婦とボランティアされる91歳のおじいちゃん橋下さんの人生と庭に集まるノラ猫たちのニャン生で、語られるのは「平和と共存」というテーマから考える介護福祉問題。
韻を踏むように人生とニャン生がリンクしていく。肺癌を患う橋下さんが吸うタバコがPeaceで、橋本さん家ダニやばいからと介護前に防虫スプレーを吹き道端の花に感動する。庭に集まるノラ猫にご飯を与えるただ足元に在るような平和な風景は、同時にノラ猫の食い散らかしや空のネコ缶のゴミや散乱する野糞を生み、夏になると異臭が充満しネコついでにハエも大量に集まり近所から苦情が殺到するのと共存する暮らし。
終盤ニャン生に訪れる大切な瞬間を収めたカメラが今後の介護福祉問題の鍵を示唆してるのは間違いなく、ナレーションだとか、社会的メッセージだとか、スタンダードなドキュメンタリー的要素が全て排除されだた時系列に映される映像がこれほど雄弁に語るなんて驚き!観察映画面白すぎる!!
はにゅ

はにゅの感想・評価

3.9
いい。老老介護の現状だとかそんな事はお門違い。とにかく人の声や口から出る言葉の端々にその人生が詰まってる。
dude

dudeの感想・評価

4.0
「惰性」という言葉を聞いたときは身近に感じられたんだが、実際は自分が全く腑に落ちていない感覚を内包しているなと段々気付いてきて恐ろしくなってしまった。
ヒルコ

ヒルコの感想・評価

3.0
ドキュメンタリーって、出来るだけ早い段階で監督の持つバイアスに気づいて鑑賞するかにかかってると思うのだけれど、想田監督の場合、特にこの映画はそれが難しかった。例えば、お義父さんが面白いなーと思ってそこに付随するものも追いかけて行くとこんなのも撮れた、という、それこそ「監督の観察」の結果なのだとは思う。それでもどこをどう使って繋げるかの編集は監督によるものなので、その時点で色々あるとはあるんだけど・・・でも想田監督の作品は観てしまいますね、どうしても。ドキュメンタリーって何だろう、と。
ドキュメンタリーの監督は自分をなるべく透明な存在として映画の画面に登場しないように振舞う姿勢が多くあると思うんだけど、時折、無垢な被写体がそうした意図を気にせずにカメラを持つ人物に向かってくることがある。被写体のおばさんが監督に防虫スプレーをかける時、劇映画であればかけられる人物を映すはずが、ドキュメンタリーのこの映画では、カメラは本来映すべき対象を捉えられずに宙吊りにされる。『ホームレス理事長』で理事長が撮影スタッフに金を貸してくれと土下座する場面とか、被写体が撮影者に向かってくる時のフィクションとドキュメンタリーの境界が曖昧になり空間が歪む異様な時間の流れは「映画的」と言えると思う。
めちゃくちゃ面白い

想田監督の世界の切り取り方、見方がすきだ
カメラはそこに存在しているのに実体がない、空気のよう

特典に宇多丸師匠と想田監督のロング対談がついておりました

「尺が長ければ、そのなかでいっぱい色んなことが起きないと、と考えてしまうけど、人間の生理としてゆっくり行かないともたない」
「面白いが重なりすぎても、飽きる」
「燻製ってめちゃくちゃ美味しいけど、量食うもんじゃねえよな」
「ルールや縛りを設ける、引き算をすることで"過剰"と"退屈"の均衡をとる」
想田和弘監督の観察映画3本目。これはちょっと受け止め方が難しい。と言うのも映画を見る前に監督の著書『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』を読み始めていて、この映画のメイキング側面があると知って中断したのだが既に読んだ分の先入観は生まれているし、他メディアでの話ぶりから監督の人となりや思想は大体自分の中で固まってきている。どうしても『選挙』を見た時ほどに純粋には見られない。

75分しかないこともあってか比較的浮かび上がらせようとしているテーマが分かりやすく雄弁ですらある。元々は平和と共存をテーマにした韓国のドキュメンタリー映画祭に出品するために撮っていた猫社会の短編映画だったもの。そこを踏まえて見ていれば泥棒猫と呼ばれる余所者の猫と40年前の養護学校建設に置ける地元との諍い、老いた猫がいつの間にか消えて若い猫が残る見過ごされている老齢問題、多くの猫を養うための費用と人間社会における福祉予算などなど様々な点で猫と人間を結びつけるのはさほど難しくない。かなり早い内に気付いたのでどうにも結論に誘導されてる気がしてならない。なので色々な所で作為を疑ってしまった。そうでなくてもカメラを向けられて話す被写体が100%ありのままなはずがない。受け手にそうした疑いを持たせるのも意図した所なのかもしれない。

本作の主人公と言っていいのは橋本さん。路地の片隅にある部屋にひっそり暮らしている肺癌の男性。数ある被写体からこの方をピックアップしたことは大きな意味があるはずだ。肺癌でありながら橋本さんが唯一の楽しみにしているのは喫煙。(このタバコの銘柄がPeace!)誰が考えたって良くないが医者には止められていない。この医者が映される時は病院全体が親切そうで金儲け主義の匂いは感じない。きっとその通りで良いお医者さんなのだろう。でも喫煙は止めなくて、橋本さん自身が「迷惑をかけてるからいつでも逝けるようにしないと」と言っている。この事に言葉にされていない社会の意思を強く感じさせられる。そして橋本さんは1銭5厘の赤紙で招集されたことがある人なのだ。定額働かせ放題で人を安く使おうという姿勢をいよいよ隠さなくなってきたこの国の人命の安さは今に始まったことじゃない。

もう一方の主役が想田監督の義理の両親である柏木夫妻。訪問介護事業を運営している彼らに事業による収益はなさそう。自分もその分野では受ける方の当事者なのでそうだろうなと思う。面倒な人間を相手にしているのに忙しい上に儲からない。たくさんの猫を庭に放し飼いして餌を与え獣医にも度々連れて行ける裕福な人でなければとてもやっていけないだろう。国からの補助はないとのこと。我が国の福祉は善意の搾取で成り立っている。それじゃあ無理があるんですよ。金が欲しいからやるという邪な動機でもやれるくらい介護福祉保育への待遇を良くしないと。どこかでどうにかしないといけない。でも愛国心高揚のためにゴリ押しするオリンピックの人員にすら金を払いたくないドケチ国家に何か期待ができるだろうか。クソ学校やアメリカへ媚を売るためには何億円も費やせるらしいのに。結局の所、自分たちで意識を変えるしかなさそうだ。余所者の泥棒猫を迷惑がりながらも内に入れた猫達がそのヒントとなり得るのかもしれない。
『精神』を観て毒気に当てられてから、想田監督の作品は、しばらくの間、観る気持ちになれず。
久々に観たけど、案の定、暗い気持ちになった。
ドキュメンタリーの生々しさというよりは、想田監督の視点なのか。
懲りずに他の作品も観たいとは思う。
想田監督の奥様のご両親、つまり監督の義父と義母の障害者支援ボランティア活動をメインに、末期がんの独居老人、庭先でたむろする猫たちの生活を追う。
障害者や老人たちは社会的には弱者だろう。そして当たり前のことであるが、その弱者を支える人たちが存在しているという事実に、目を背けている自分に気づかされる。
自分は今、たまたま壮健であるが、いつ社会の助けを必要とする状態になるかはわからない。
それはとてもこわいことだけど、このこわさは常に忘れぬようにしたい。
Osamu

Osamuの感想・評価

4.3
これがドキュメンタリーの真骨頂かも!

社会福祉事業に携わる夫婦(と猫たち)を映すドキュメンタリー。

社会で生きる人類のあるべき姿を観た気がする。何でもないような映像を眺めていたら不意に感動がやって来た。ワオ!

猫たちは互いが生きていけるように振る舞う本能的なシステムを持っている。猫のピース。

この夫婦は衝突のタネを持ちながら、デコとボコとで補い合っているように見える。夫婦のピース。

我々人類はたくさんのデコとたくさんのボコとを補い合う超巨大パズルを完成させられるのだろうか。複雑のようで、答えは単純のような気がする人類のピース。
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