かたゆき

SOMEWHEREのかたゆきのレビュー・感想・評価

SOMEWHERE(2010年製作の映画)
3.5
酒と女を生き甲斐に自堕落な毎日をおくっているハリウッドの人気俳優ジョニー。
彼の娘で、今は離婚した母親と共に過ごす11歳の多感な女の子クレオ。
ふとしたきっかけで一緒にイタリアへと旅することになった彼らの、特になーーーーーんにも起こらない静かな日々をただ淡々と描いた、いかにもソフィア・コッポラ監督らしいヴェネチア映画祭金獅子賞受賞作。

いやー、なんなんですかね、このソフィア・コッポラって人。
相変わらず、退屈紙一重のともすれば睡眠誘発剤になりかねないかなり地味な内容(正直、クレオが出てくるまでの最初の10分は撃沈しそうになっちゃいました)なのに、普通に最後まで観ていられるのは彼女の溢れんばかりの瑞々しいセンスによるところなのでしょう。
終始のんびりとした雰囲気で描き出される、女癖の悪い父親とのほほんとした娘とのユーモラスな遣り取りには素直に心が癒されました。
そして、そんな2人を彩る周りの個性豊かな女たち……。
女性の美しさを上品に撮らせたら、ソフィア・コッポラの右に出る者は居ないだろうね。
だって、ポールダンスを踊るストリッパーまでもがキュートなんですもん。

そして特筆すべきは、やっぱりクレオを演じたエル・ファニングちゃんのびっくりするぐらいの美少女っぷりっでしょう。
ニンフェットな魅力が炸裂している彼女の可憐な姿に、そっち系の趣味が多少はある自分としては、完全にノックアウトされちゃいました。
それに、スティーブン・ドーフのいつだって二日酔いって感じの駄目パパっぷりもなかなか良かったですね。

思春期少女のその大人でも子供でもない一瞬のきらめきをリリカルに切り取った、詩情溢れる美しい作品でありました。
かたゆき

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