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理想の出産のskgcのレビュー・感想・評価

理想の出産(2011年製作の映画)
3.8
出産に限らず、人が生きていて絶対の理想なんてないし普通なんてのもない。
そういう風刺が効いたいい邦題だと思いました。
フランス語の原題はわからんけど、英語版のA HAPPY EVENTってのもなかなか良い。

出会い、恋愛からはじまり、妊娠、出産、育児まで、1組のカップルを見守るけど、そこにあるのは幸せばっかりじゃないし、むしろ出産後なんかは夫婦としての関係や、お互いの尊重がうまくいかなくて、観ててなんとも苦い気持ちに。
子を想う気持ちは確固たるものなのに、なんでそれ以外は揺らいじゃうんだろうね。

子育てに関する問題が山積みに盛り込んであるので、語り出したらどこまでも書ける気がするんだけど、映画に関係ないことまでつらつら書きそうだからやめとく。
でもとりあえず、育児と母性を強く結びつけすぎるのはやめよ?って思いました。なんのために父性という言葉があるの?ていうかむしろ自分らの子なんだから母性とか父性とかいう次元じゃないし、「2人」で育てて?って思いました。でもこれも理想論。

はっきり物言う主人公の性質もあって、コメディ風なところもあるし、苦悩する姿が等身大でリアルさもある。
水中でたゆたうシーンとか、子を持つことへの不安の表現の仕方が印象的。

愛してるかは目を見てわかる。
って作中のセリフがあるけど。
それを痛感するかのように、序盤と終盤では2人の目の輝きが違う。あからさまに違う。ちょっと現実的すぎて泣きそうになります。

パパを愛してた。そのパパとの最高傑作があなたたち娘2人なのよ。
って主人公の母のセリフ。めちゃええ。
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