イッテルビウム中田

シュガー・ラッシュのイッテルビウム中田のレビュー・感想・評価

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)
5.0
「おれは悪役。それでいい。ヒーローになれないのは悪いことじゃない」

お菓子の国を舞台にしているものの、いじめ描写はリアルで陰湿だった。もっとも、キャンディ大王による〝大多数のために一人(ヴァネロペ)を犠牲にする〟正義も頷ける部分はある。

ラルフが拳を振り上げて二人のカートを破壊するシーンが泣ける。彼にとって最もつらい瞬間であったに違いない。思えば二人が意気投合したのは車の生成からであり、何度も練習した過程で友情が育まれた。実際に仲直りの場面で修復されたカートが登場していることから、カートは二人の友情を象徴しているのだろうか。

悪役であることを受け入れ、与えられた役割を全うする道を選んだラルフ。世の中には地味で大変な仕事がたくさんある。それでも家族や恋人など誰かにとって特別な存在であることは励みになる。
これは屋上から投げ落とされる瞬間が一番楽しみな時間になったラルフから学べる教訓である。