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シュガー・ラッシュのrurのレビュー・感想・評価

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)
4.2
TV放送で。ネタバレもあるよ!

アナと雪の女王のジェニファー・リーの脚本デビュー作?だし、面白いとは聞いていたので気になっていた作品。

最初はそーかあ? そうでもないなーと退屈に感じてたんですが、だってラルフ可愛くないしバカだし悪役の自己啓発集会(アメリカでよくあるやつだけどあれって主宰どこなんだろ。日本であるやつは大概詐欺じみているんですが)は内輪ネタ(いや私はストライクゾーンですけどね?)だし、Fix it Felix? Wreck it Rulph?はクレイジークライマとドンキーコングを掛けあわせたようなゲームだし、お前クレイジークライマ―がある年の正月にどれだけ私のお年玉を吸い上げたと思ってるんですか。意味がわからなくて面白くもないのに次々消える100円玉に何か言うことは?! そんな感じでたいして面白いとも思わずに見てました。
ラルフがパーティに招待されず、邪険にされて、邪険にされてなくても期待通りパーティをめちゃくちゃにしてしまってもうまったく同情もできないっていうかそりゃそうでしょう的なものしか思わないわけ。自業自得。
ヴァネロペの登場も結構遅いし、登場しても声可愛くないし(※二か国語放送の場合は副音声で聞く習慣)ていうか腹立つし性格もあまり良くはないしで、なんか、ねえ?

ところがラルフ不在のフェリックス世界が、ゲームとして成立しない瞬間から俄然話は面白くなり、フェリックスとなんか怖い戦争ゲームの美形女性(※声はズートピアの副市長さんだとかw)とのある意味異種間な恋愛にはなんかこう解像度の壁を
越えてなんかこう、萌えるんだよ?! わかるよね?! べつに私は百合とかホモが好きなんじゃなくて、高いハードルに萌えるわけよ? そこにある軍曹のトラウマとその乗り越え方も設定だけでなく展開のさせ方にも、世界観に通底する説得力があるんだよね。

話と世界の設定の設計の調和! そして真の悪役が出てくる前にラルフが筐体にでかでかと乗せられたヴァネロペに気付いて疑問に思うところでもうぞぞぞっとくるわけですよ。設定と脚本の噛み合い方情報の出し方が普通じゃなく巧妙ていうか最後の最後でつながったときにブワーッと広がっていく感覚! この箱庭感だいすっき! 私がSF大好きなのは自分で世界を設計してそれが推理小説のように綺麗に利用されて大団円を迎えるその緻密さにあるんですが、この作品にはそれはあって、もう右肩あがりによくなる一方。

そして最期、別々のゲームにわかれて、センチメンタルな独白で締められる、一緒にいないけれど幸せで切ない結末に胸がしめつけられるぅ! なにこれ大好き!って思った瞬間に終わっていく素晴らしいさすがリー監督…(リー監督はズートピアでもシナリオ協力していました) めっちゃ面白かったまさかまったく萌えないラルフとヴァネロペでラストでこんな気持ちになるとか思わなかった…

あ、一番好きなキャラはフェリックスなんですけどね!
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