家族の誰かが借りてきたのだろうか。
深夜2時頃おもむろに私はそのDVDを取り、世界に没頭し始めた。
ー6年前 春ー
まだ私の世界がほんのちっぽけだったとき、桜の蕾に未来への期待を感じたとき、そしてそれは9年間、共に過ごしてきた友との別れのときである。
私たちは別れを惜しみ、最後の宝物に毎日、会っていた。
私は当時、皆には隠し付き合っている彼女がいた。しかし、それは本当の愛ではなく、私の本当の愛は別の人にいたのだ。
その人と見にいった映画がこのシュガーラッシュという映画である。映画館ではとなりに座った。バター味のポップコーンを二人で食べる。スクリーンの騒々しさに疲弊し、ふと、横を見ると目があった。その瞬間、一瞬は永遠に変わりそして、また、一瞬となる。
私は臆病者だ。結局、最後までまだ二人きりで遊ぶことはなかった。しかし、何故だろう。初恋というのはいつまでも自分にまとわりつく。初恋の人のことを今でも思い出す。初恋ほどに難しい恋はないというのに…
ー現在 2018年ー
ふと、宝物ボックスをみた。まだ、映画の半券が残っているではないか。
僕はそれをビリビリに破き、寝床につくのだ。
映画自体はふつーに面白かった