朝ドラ女優・田畑智子さんがフルヌードになったことやコスプレでの妖艶な演技ばかりが話題になっていたけど、なかなかどうして内容は「生きる」ことがテーマの骨太な作品。
自分の環境から人はなかなか抜け出せない。無限ループの繰り返し。そして、その環境を変えるのは、コスプレで違う人間に変わることでも友人を貶めることでも、犯罪に走ることでもなく、自分がいかに真正面から現実と対峙するかってことにかかっていると思う。
登場人物たちがそれにだんだん気づいていく描き方がとてもよかった。
あと、息子の行動や噂に、まったく流されない一貫とした愛を貫く母親の姿がとてもよかったし、そういう人が少しでもこの世界にいる限り、人はまだこの世界に希望を見いだせるのだと思う。
その母が友人の息子のために作ったおにぎりが、その希望を象徴しているように感じた。いろいろな立場に立って、「生きること」を考えさせられる佳作。
