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ふがいない僕は空を見たのSnLのレビュー・感想・評価

ふがいない僕は空を見た(2012年製作の映画)
3.2
なんとなく空虚を抱える高校生、放蕩母に婆ちゃんを押し付られてギリギリの貧困の中に生きるその友人、マザコン夫&姑のプレッシャーから不倫に走る人妻。

永山絢斗と田畑智子はあんずと村正になりきり、窪田正孝は2人の写真をばらまいて現実から逃避する。

同じく現実逃避に走るバイト先の先輩(三浦貴大:他人に施しを与えることで、自分の現実を清算できるつもりになっていた)が反面教師となって、3人の現実逃避はそれぞれがそれぞれのやり方で現実と折り合いを付けることで終わりを迎えるし、逃避の先には不幸しか待っていないんだろうなってこともわかる。

わかるんだけど、窪田正孝の写真バラマキシーンなんかは逃避しか残されてないほどの彼の苦しい立場に、10代の無邪気な暴力性が重なってなんとも言えない思春期の刹那的な美しさを感じて感動した。

最後に永山絢斗が出産を手伝って生を再確認するとこはまだしも、助産師の母親や従業員の発する時に回りくどくて、時に直接的な生へのポジティブなメッセージの繰り返しは蛇足だし白々しいと思った。あんなものなくても臆面もない現実=生と向き合う彼の覚悟はわかる。
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