荒野のパイナポー

悪人に平穏なしの荒野のパイナポーのレビュー・感想・評価

悪人に平穏なし(2011年製作の映画)
4.1
久しぶりに見たけど、やっぱりイイね。
タイトルからして北方謙三みたいなハードボイルドみあるでしょ、撮影自体もとってもハードボイルドでフィルムの感じと構図の奥行き感が凄く良い。
かなりロケを頑張ってたり、車がフレームインして画面の手前にビタッと止まるのとか、とてもカッコいい。すごく好きな映画なんですよね。

やっぱり強烈なのは、「極悪‼︎ラムコーク刑事」こと、サントスですよね。ほんとタチの悪いアル中オヤジで、初めてみた時「え、こいつ警察なの?」と冒頭から驚いた記憶。その後の突然のバイオレンスも度肝を抜かれます。
これは憶測なんですけど、『渇き。』の役所広司ってこの映画のラムコーク刑事を参考に役作りしてると思うんだよね。ビジュアルもそうだし、口の両端を撫で下ろすような仕草だったり。

ともかくストーリーとしては皮肉なもので、ドツボにハマってあくせくする役所広司こと、極悪‼︎ラムコーク刑事が証拠隠滅を図って行くなかで、結果として凶悪テロを阻止するという、この皮肉がスペイン映画らしいなと思う。一方でクライマックスの戦いに行くぞっていうシーンではマーチが流れたり、ハリウッド的な映画作法に基づいているようにも思える。また、バイオレンスシーンで引きのカメラになったり、あえて静かに作っている部分では北野武や黒沢清的な演出もある、とにかくツボを抑えた良作なんだよね。