odyss

スリーピング ビューティー 禁断の悦びのodyssのレビュー・感想・評価

2.0
【エロスが作品全体で表現されていない】

川端康成の『眠れる美女』にヒントを得たという映画。過去に川端のこの小説は日本で2度映画化されており、さらにドイツでも数年前に映画化されました。

さて、このオーストラリアでの映画化ですが、主人公を老人ではなく女性にしているところがミソでしょう。原作ではあくまで若い女の裸体を楽しむ老人の視線で物語が進むのですが、この映画ではヒロインに病弱の恋人がいて、また家族との関係もうまくいっておらず、色々アルバイトをする中で、或る特殊な仕事に行き着く、というストーリーです。あくまでヒロインの物語なのです。

本作の一番の問題点は、肝心の仕事に行き着くまでのストーリーがあまり冴えないし、肝心の部分とあまりリンクしていない、ということです。性にからむアルバイトをしていて行き着いたとか、性に興味があるから行き着いたというのではない。本来、この作品は老人のエロスをテーマにしていて、したがって肝心のシーン以外でもそこに絡めたストーリー展開や雰囲気作りが求められるはずですが、どうもそういう認識が製作側にないらしい。悪い意味で散文的なのです。

ヒロインのヌードは悪くないですね。色々な角度から色々な姿態を見せてくれるし。でも、要するにそれだけの作品に終わってしまっている。作品全体でエロスを表現しているとは言えない。残念です。
odyss

odyss