fleur

かぐや姫の物語のfleurのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
4.8
自由にのびのびと過ごしていたのに成長するにつれ籠のなかの鳥となってしまった姫。成人の宴で参列者から侮辱され、姫が走り去る様は鬼気迫るものがありました。周囲に決められた最上の相手との結婚こそが幸せであるとされ、それを拒むことは許されない。無理難題を与えたことによって人が死に、帝の求めを拒み思わず助けを願ったことで姫は月へと還らなければならなくなります。今生に別れを告げ記憶を失くし月へ還るということは、まさに死ぬということと同義。姫が求め続けた真の自由は死をもってしかなし得なかったのだと思うととても悲しくなりました。

私はこの作品に対する雨宮まみさんのブログがとても好きです。そのなかで雨宮さんがおっしゃったいた「姫の罪とは、自分の意志を持ち、周りの期待に添う言動ができないことだ。」という一文はいま、とても心にくるものがあり胸が痛くなりました。そしてこれは決して姫君に限った話ではなく、広く私たちの物語なのだと感じました。
ジブリ映画で最も好きな作品です。映画館で観てほろほろと泣いてしまったことを今でも覚えています。
fleur

fleur