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かぐや姫の物語のtokoのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
5.0
高畑勲監督の作品はどれも大好きだけど「かぐや姫の物語」はその中でも特に心打たれた作品にやっとなった、といった感じです。公開当時にもバルト9にドイツ語をサボって観に行った記憶がありますが、その時には今ほどかぐや姫の気持ちも、行動の意味も、彼女の置かれた状況もこのお話自体の機微さえもまるで分かってなかったです。高校生だったあの時から7年が経ってまたジブリ映画を通して自分の成長を実感出来るなんて嬉しい限りです。

日本最古の物語と言われる「竹取物語」を現代的、むしろ時代の最先端をいくような解釈で再構築し、1935年生まれの高畑勲監督とスタジオジブリがあの独特の水墨画のような芸術的で美しい画で一作のアニメーション映画に落とし込んだって凄まじいな…って考えると鳥肌が立ってクラクラしてきます。

あれだけ生きることは素晴らしいと謳った高畑勲監督までも、あの天女達に連れて行ってしまわれたのかと思うと…その人の人生、偉業、幸せ、残された人たちの悲しみなど関係なしに無情に、そしてここだけは人類皆平等に巡ってきてしまうものなのだなと、やるせなくなります。寂しい。

高畑勲監督の描く「愛」や「死生観」は私にはどんな宗教の教えよりもすんなり染み込こんでくるのは何とも不思議な感覚です。

一つだけ難癖つけるとすれば、音楽が西洋っぽすぎて琴の音がリュートに聴こえて仕方がなかったです…笑
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