ナイトリッチ

愛、アムールのナイトリッチのレビュー・感想・評価

愛、アムール(2012年製作の映画)
4.0
★幸せに暮らしていた老夫婦の妻が、病気をし、車椅子生活になって、徐々に寝たきりになり、認知症になっていく。病院嫌いの妻の言葉を守って、夫はヘルパーに来てもらいながら妻の介護をする。

#認知症の妻を老老介護する夫の生活を淡々と映してるんだけど、きっつい。

#介護してるご家庭それぞれに、程度や状況こそ違えど『愛、アムール』と同じようなつらさや涙や息詰まるシーンがあるじゃん。映画的な話ではなくて、すごく生々しい人間ドラマの話

#何かが起こった時の人間の細かな表情、態度をねっとり撮ってる。普通カット切り替えたりするじゃん?もうね、ここまで映す?みたいな感じで撮ってる。
元気いっぱいな恩師を訪ねてきた青年が、車椅子に乗ってる恩師の姿を見てぎょっとするけど、恩師をみじめに思わせないように必死に平穏を装って今まで通りに振る舞って、さりげなく「何があったんですか?驚きました」って言う様子とか、青年の表情と物腰に食らいつくみたいに見せてくる。

#同じような結末を迎えてしまったご夫婦の話、ニュースでたまにやるけど、何かもう本当誰も何も責められないよね……つらい。

#施設に預けることもできたわけだけど、病院が嫌で絶対に家で死にたいっていう妻との約束を夫は守り続けたわけだよね。

#溌剌として美しかった妻が寝たきりになり、認知症になってお漏らししたり支離滅裂なことを言ったり、その様を見ているのがつらくなったのか、こんな状態を晒して生きているなんて尊厳高い妻はつらいだろうって思い詰めてしまったのか、夫の真意はわからないけど、
「殺す」っていう選択が取られてしまって、でも最後は妻が夫を迎えに来て、妻に導かれるようにして夫はどこへか消えていったわけじゃん。妻は夫に殺されたなんて思ってないわけだよね、殺されたと思って恨んでたら迎えになんて来ない。
お互いの愛情をお互いがわかり合ってたんだと思うし、愛ってテーマをこういう形で描くの、めちゃくちゃ良い

#後から調べて知ったけど、監督ハネケなんだね!?

#ハネケといえば胸糞監督のイメージなんだけど、『愛、アムール』は胸糞が悪いというわけではなくて、でもこんなにも心にべっとり残る、流石ですな、、、