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ヒッチコックのminnのレビュー・感想・評価

ヒッチコック(2012年製作の映画)
4.5
この作品は、ヒッチコックとその妻アルマの愛の物語が中心であり、その裏話として彼の最大ヒット作である「サイコ」の製作過程を描いたものだ。まず目を奪われたのが、ヒッチコックの書斎と庭園の美しさ。こんな素敵なマイホームを手放してまで「サイコ」を製作しようとしたところに、彼の作品に対する並々ならぬ熱意が感じられる。ヒッチコック自身も、母親との複雑な関係に苦悩した経験があり、それが小説『サイコ』で描かれている実在の殺人鬼エド・ゲインに惹き付けられた原因だと思った。狂気の作品を生み出す人もまた狂気を内に秘めている。問題となったシャワーシーンの音楽と観客の悲鳴に合わせて、ロビーで指揮をとる姿がとても印象的。ホプキンスの演技力の高さを改めて実感した。奥さんであるアルマに「あなたの最大のヒット作になるわ」と言われて、「私たちのだ」と返すシーンは二人の強い絆とお互いを敬う気持ちが表れていて感動的。ヒッチコックの肩にカラスがとまるという、次回作を予感させるラストシーンもいい。
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