Auralee

スタンリーのお弁当箱のAuraleeのレビュー・感想・評価

スタンリーのお弁当箱(2011年製作の映画)
3.0
インドの食に興味があるので色々なお弁当を見るのが楽しかった。案外量が少ないなとかお菓子みたいとか、調理するところがちらっと見られるのも嬉しい。
しかし主人公の登場シーンから彼の境遇の厳しさを感じ取ってしまい(早朝の登校、ボロボロの制服、汚れた顔と痣)全体的にほのぼのした雰囲気なのに身構えながら観てしまった。
いや、スタンリー自身は明るくて、大好きな先生がいて、友達と遊べる楽しさと学ぶ喜びに満ち溢れてるんだけども、彼がニコニコしてる分だけ考えるものがありました。

食事をするって生きるために最低限必要な事だもんね。
それがままならない人たちがいる事を悲しく思いながら観ていたら、この映画はそんな感傷を超えて、苦しみに囚われずに生きる事の大切さと、どんな時も観ていてくれる人、助けてくれる人がちゃんといるんだって事を教えてくれました。

あの意地悪な先生ですら、先生仲間が手を差し伸べてたんだよなあ。それに中々気づけず、自分とよく似た生徒であるスタンリーにばかり目を向けてしまったのが残念。実はこの人にも何か事情があるんじゃないのかな…と最後まで気になってしまった。

評価が抑えめなのはこの先生の描き方が卑しくてちょっと哀れな悪人ってだけで終わってしまったからです。
だってスタンリーは将来、あの先生みたいになるかもしれない。何処かで道を見失って、周りの事が見えなくなるかもしれない。誰だってあの人になる可能性はある。だからそこにもう少しだけ希望が見えたら良かったなと思ってしまった。

でもきっとあの特性お弁当がスタンリーを光の方へ導いてくれるはず。
お母さんが作ったんだよって言えばお母さんの味になる、心のこもったあの優しいお弁当。
食べる事はただ生きるための行為ではないのだなあと改めて思いました。
Auralee

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