雨丘もびり

チャット 〜罠に堕ちた美少女〜の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

5.0
ツラい。素晴らしい。ツラい。
観てて、ヤバ....この映画から離れなきゃって思うけど、ムリかった。

レイプ被害者家族の後遺症を、オフトーンでひりひり描いた映画。鑑賞注意。ただ、演出も芝居も素晴らしい。映画ファンなら覚悟して見て頂きたい一本。

自分の身に起きた酷い事を、受け入れられなくて、愚かな被害者だと認めるのが怖くて、親から叱られるのが恐くて、「レイプじゃなくて合意だったの」っていうfictionで自分をくるんでしまう少女の心理描写が生々しい。
ハタから眺めてると「えっ?」て思う思考の跳躍も、当人にとっては必死の防衛術なのね。私も詐欺とかに巻き込まれたらそうするかもしれない。

レイプされた娘のお父さんも、お母さんも、ズタズタに傷付く。
お父さんの傷に誰も気付かない、癒してあげない状況が、私はもうツラくてツラくて......。
暴走を責めるんじゃなくてさ、ちゃんと、ちゃんと、守ってあげようよ。

「...人は傷つくものよ。転んだ時には、助け合わないと」みたいなセラピストの台詞が、しばらく経ってから効いてくる。この"しばらく"の間が哀しいよ。
自分の、相手の、傷に向き合うことで治癒に向かってゆく。
でもその、向き合うときの痛みがさ、また、キツい。
セラピールームで絶叫する娘アーニー、「自信を失う状況から守ってあげられなかった」って謝るお父さん。
真に迫って苦しかった。