マーク

チャット 〜罠に堕ちた美少女〜のマークのレビュー・感想・評価

4.0
この上なくリアルなレイプの話。

ちょっと「おかしいんじゃないか」とどこかで思いながらも、若さゆえの経験不足とクズ男の口の巧さに引っ張られ、引き返すタイミングをどんどんと失ってしまうのだろう。
時には甘い言葉で、時には罪悪感を煽りながら彼女を巧妙にコントロールし、穏やかな手口で拒否するタイミングを潰していくクズ男。
大人と未成年者との交際が犯罪だということがある意味初めて理解出来た気がする。

昼も夜もひたすらチャットしてくるとか、初対面で運命の相手だ何だと恋に浮かされたようなセリフを言ってくるとか、「年齢なんか関係ない」と言ってくるとか、
そういうすべてのことが、若者であれば恋は盲目とも取れるが、
おっさんの言動だとなると話は全く別で、絶対に「それはおかしい」となる。
ところが若い女の子には、人生経験の中で身に付く嗅覚がないから、「それはおかしい」と気付けずに、気付くよりも先に搾取されてしまう。

彼女は常に困惑と混乱したまま、クズ男のペースに乗せられて全てが済んでしまった。混乱したまま自己防衛本能から「愛だった」と自分にも他人にも言い聞かせる。

父親は自己満足のために暴走し、娘を傷付けることしかしない。

そんな中で彼女が「愛」という言葉や男たちの態度に益々混乱し、父親や兄に対しても不信感を募らせていく。

友達は自己満足な正義感から何の配慮もなく警察に通報。
レイプをレイプ認定されたからといって、犯人が捕まったからといって、彼女が受けた傷は無くならないし、レイプ被害者として好奇の目に晒されるくらいだったら、そっとしておいて欲しかったかも知れないのではなかろうか。
少なくとも、友達が彼女の気持ちに配慮していたようには見えない。

刑事に写真を見せられて、自分に起こったことが何であったかを認めさせられる瞬間は言葉にできないほど辛く苦しいものだった。

彼女の尊厳を守ってくれようとした人はあの映画の中に居ただろうか?

自殺を図って一命を取り留めたような、最も傷付いて絶望の淵に居る時でさえ父親は、自分の感傷をポエムさながらに訴えながら許しを乞う(自分が楽になりたいだけ)という身勝手さ。

これから一体、誰が彼女を助けることが出来るだろう?
マーク

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