YusukeKohno

ブリングリングのYusukeKohnoのレビュー・感想・評価

ブリングリング(2013年製作の映画)
3.9
ソフィアコッポラ登壇直後の上映だったため興奮状態からの鑑賞となり初っ端から物語の高揚感に乗り切れ、飲まれ、あたかも自分が犯罪グループの一員かの様な不思議な罪悪感さえ感じながらのあっという間の90分間でした。
冷静になって考えるとただポップにオシャレに極端な現代のボニーアンドクライドを描いただけの及第点ギリギリの作品なんじゃないかと思いきやそんな事はない。
ボニーアンドクライドの時代と世論を実は現代もそのまま受け継いでいるという事をリアルに感じる事ができる意外にも良作の社会派ドラマなのだ。
思春期の子供のあやうさはもちろん十分すぎる程うまく描かれているし、それに対する大人、社会の滑稽な反応や、事件を“ネタ”として扱うメディアのいやらしさや不健康さをセンスの良い下品な音楽と気持ちのいいテンポでオシャレに不健康にうまく描いている。
そして毎度の監督独特の濁っているのか清んでいるのか分からない作品全体に漂う雰囲気が、もやもやとした重い印象を残し、それが鑑賞後の反芻を促すスルメ的作品だ。
ただ、行き着く先が完全に読めてしまう展開の中でもう一つ何かあればと思うと4点には乗らず3.9。
一点大きくNoと言いたいのは邦題。blingbling→blingringといった造語的タイトルだと思うが、そこから読める深さ、監督の思いを一切排除したブリングリングはないでしょう。

東京国際映画祭にて
YusukeKohno

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