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彼が二度愛したSのodyssのレビュー・感想・評価

彼が二度愛したS(2008年製作の映画)
3.0
【この映画を良くするには】

まとまりはそれなりにいいんだけど、見終わると何か物足りなさが残る映画です。

じゃあ、どうすれば良くなるか、考えてみると――

1)主人公がせっかく不特定多数の女性とセックスをするのだから、そこを詳しく、また女性ごとの違った魅力が出るように描く。つまり官能性を高める。

2)主人公とヒロインが惹かれ合うところをもっと詳しく描く。この映画の冒頭で、主人公(ユアン・マクレガー)は貧しい環境で苦学しながら大学を出たということを語ります。それは彼に近づいてくる自称弁護士(ヒュー・ジャックマン)がプリンストン大卒(だと言われている。本当かどうか分からないけど)でエリートであり、遊び慣れているらしいことと対照的で、そこがこの映画の一つのポイントになっている。ですからヒロインと惹かれ合うところでも、育った環境に似通ったところがあるというような設定にすればもう少し作品に深みが出たと思いますね。ヒロインの職業は実は○○だということが後から分かるのだから、なぜそういう職業に就かねばならなかったのか、それとなく語らせるシーンがあっても良かったのではないか。

ユアン・マクレガーの貧しい育ち故のどこか人慣れない態度と、ヒュー・ジャックマンの闊達で遊び慣れた態度の対比。ヒロインであるミシェル・ウィリアムズが、マクレガーとホテルで語っているときは実に可愛い女に見えるのに、終盤、ジャックマンとホテルにいるときはいかにも○○に見える。彼女の演技だけではなく、撮す側もうまいのでしょう。そうしたすぐれたところがある映画だけに、もう一つインパクトに欠けているのが惜しまれるのです。
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