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ニルヴァーナのmarukovのレビュー・感想・評価

ニルヴァーナ(1996年製作の映画)
4.0
クリストファー・ランバート主演によるイタリア製サイバーパンクSF。1年前に恋人が失踪し失意に沈む主人公の天才ゲームデザイナー・ジミーを始め、ジミーの制作した新作ゲーム「ニルヴァーナ」の主人公で突如として自我に目覚めたAI・ソロ、記憶移植の事故で1年前以前の記憶をごっそり失っているヒロイン・ナイマ、生活のため両目を売りメカ義眼を埋め込んでいるハッカー・ジョイスティックといった一癖も二癖もある登場人物に加え、薄汚れたアラブ人街の雑踏に怪しげな電脳インド人行者、チャイナ服美女にヤクザが経営する寿司バーなどなど、これでもかと言わんばかりにサイバーパンクな、というよりはあからさまにウィリアム・ギブスン的な要素がてんこ盛りで、もうどんだけギブスン好きやねん!という感じ。
ジミーにゲーム制作を依頼している日系企業の名称が「オコサマ・スター」社というだけで、ギブスン好きならゴハン3杯はイケるかと。知的なジミーにヒッピー風味全開なジョイスティック、エンキ・ビラル作品から抜け出て来たような青髪のナイマ、ダンディだけどコミカルな丸顔中年ソロと、ビジュアル面の対比も結構楽しめました。

ちなみに今作おけるサイバースペース描写はCGなどは極力使わず「リアルに存在しそうでいてなおかつ騙し絵的」というちょっと不思議なビジュアルで描かれているのですが、かの「JM」の例を引くまでもなくヘタにCGバキバキな「いかにもサイバーサイバーした風景」を作ってしまうと時代の変遷とともにあっという間に古びてしまうわけで、昨今の技術革新速度考慮すると非常に上手いというか斬新なヤリクチだった気がします。まあ、単に予算の都合かもしれないけど。

個人的には「マトリックス」とかより全然好きだったなー。

あとどうでもいいですが、ナイマを演じたステファニア・ロッカの「イタリア人らしからぬアッサリ顔(偏見)」は、個人的には非常に好みでした。
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