イッテルビウム中田

マレフィセントのイッテルビウム中田のレビュー・感想・評価

マレフィセント(2014年製作の映画)
5.0
アニメ版『眠れる森の美女』において、マレフィセントが呪いをかける動機は〝祝賀会に呼んでもらえなかったから〟という死の呪いに見合わない些細なものであった。

本作ではステファン王とマレフィセントの過去が語られることで、この動機になる出来事があまりに惨い裏切りであることを知り、我々はアニメ版とはまったく違った視点で物語を眺めることになる。

ステファンの裏切りによって慟哭をあげるマレフィセント。アンジェリーナ・ジョリーによる、心優しき妖精が変貌する怪演が凄まじい。

アナと雪の女王』においても真実の愛のキスは男女間の恋愛関係によるものとは限らないものであったが、今作における愛の定義もやや拡張されているように感じた。

ディズニーの悪役(ヴィランズ)にはそれぞれ個性的な魅力が備わっているので、マレフィセントやクルエラのように主役として描かれる映画が今後も登場するのであれば非常に楽しみである。
また、今作において〝キスしてもなにも起こらなかった〟フィリップ王子の役割は続編にありそうなので、取り急ぎ視聴したい。