イチロヲ

OL日記 牝猫の情事のイチロヲのレビュー・感想・評価

OL日記 牝猫の情事(1972年製作の映画)
5.0
余命宣告を受けたことにより幸せ探しに腐心するようになった女性(中川梨絵)が、横恋慕する妻帯者の上司(山田克朗)を自宅監禁してしまう。理性が飛んでいる女性の言動を、サイコ・スリラーのように描いている、日活ロマンポルノ。

「難病もの」「拘禁もの」に分類される作品だが、大病を患っている(と思われる)ヒロインをサイコパスとして描写。破傷風を悪魔的に描いた「震える舌」(野村芳太郎監督)を彷彿とさせる作風になっており、中川梨絵の芝居は言葉を失うほどクリーピー。

脱出劇のサスペンスは機能しておらず、観念的なイメージ映像が多用されている。「ホラーとコメディの表裏性」が機能しており、中川梨絵が大仰に悶えながら床を滑ってくるシーンと、葵三津子がカメラ目線の対面座位を見せるシーンに大笑いさせられる。

昨今のナヨナヨした「難病恋愛もの」に一家言ある人は、本作を鑑賞すると溜飲を下げることができるに違いない。このような突然変異体との出会いがあるところも、ロマンポルノの醍醐味。なお、本作は警視庁に摘発され、中川梨絵が取り調べを受けている。
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