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クスクス粒の秘密のBOBのレビュー・感想・評価

クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)
3.7
『アデル、ブルーは熱い色』のアブデラティフ・ケシシュ監督作品。

南仏。造船所で働くアラブ系フランス人のお爺さんが、船上レストランを開くという長年の夢を叶えようと奔走する。

🇹🇳×🇫🇷

タイトルにもなっているクスクス。日韓ワールドカップの時に、小学校の給食で食べたな〜とか思いながら鑑賞。

60代のお爺さんを主人公とするメインストーリーにはそれほど引き込まれなかったが、ドキュメンタリー番組さながらのリアルな家族ドラマは興味深かった。南仏港町の何気ない光景、アラブ系フランス人大家族の生活、家族経営のホテル・レストランの裏側を覗けるのが楽しかった。

主人公の実の娘たちや息子家族、現在のパートナーとその娘など、大家族の中の複雑な人間関係が大きな見所。女系家族だからか、女性陣がみんな強くて、感情的になると止まらない!

異国情緒漂う船上レストランの雰囲気が良い。提供されるのは魚のクスクスに、シャンパン、ナツメヤシ酒。個人的に、高級料理より、郷土料理、家庭料理の方が断然心惹かれる。料理のお供に、アラブ音楽とベリーダンスも披露される。凄い!

移民に対する街の人々の噂話、陰口、本音も聞こえてくる。

主人公のパートナーの娘リム(アフシア・エルジ)が魅力的。感情表現が豊かで、はっきり物を言い、父親想い。ハリウッド女優とはまた違う美しさがあった。『アデル、ブルーは熱い色』のアデル(アデル・エグザルコプロス)に雰囲気が似ている気がした。監督の好みなのかもしれない。彼女自身アルジェリアとチュニジアにルーツを持つフランス人らしい。

スパッと切れる意外なラスト。先行き不安しかないけど、成功するといいな。

585
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