SadAhCow

赤い航路のSadAhCowのレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
4.5
2021 年 37 本目

「黄金の聖水を浴びた私は第二の洗礼を受け…」
「君のセックスの地平線が開けるのだ」
「性のルビコン川を渡る」 

などなど様々な金言がなだれ打つ、世界を股にかける変態ことロマン・ポランスキーの面目躍如たる作品。ポランスキーは『戦場のピアニスト』とか思っている奴はもれなくこれを見ろ! こっちがあの野郎の本性だ! 変態! 

本作のヒロインを演じるのは、ポランスキーの 2 番めの妻であるエマニュエル・セニエである(日本語表記で一部「セイナー」と記されているものもあるがこれは間違い)。めちゃくちゃ分かりやすく美人というわけじゃないんだけど、不思議な魅力のある女優。本作の時点でセニエは 26 歳くらいなのだが、実年齢よりもはるかに年下に見えるかと思えば、百戦錬磨のアバズレのようにも見える時もあり……。要するにエロいのだが、何より驚愕するのは、セニエがポランスキーより 33 歳年下であるという事実である。もう本当にいろいろと大丈夫かよ、あのジジイ。

多分なんだけど、本作でポランスキーがやりたかったのは「俺の女」自慢である。間違いない。「俺こんなエロい女とエロいことやってんだぜ?」ってのを世界に見せたかったのでしょう。本作から 7 年後、1999 年に発表されたポランスキー作品『ナインスゲート』でもセニエは出演しているのだが、その中でセニエがジョニー・デップと青姦を決めるシーンがある。燃えさかる古城を背景に、騎乗位で……。

本作でも「俺のカミさんエロいだろ?」の波状攻撃は止むところを知らない。鎖骨丸出しドレス、ボンデージ、ボディコン…。「俺の女」にあらゆるエロい服を着させてうっきうきで撮影するポランスキー。ろうそく並べた部屋の中で全裸にネグリジェ着て踊り狂うフランス美人。その美人に魅入られて破滅する男を演じるのがピーター・コヨーテで、コヨーテは後にデ・パルマ作品『ファム・ファタール』に出演する。落語かよ。

何はともあれ、本作の結論は「ヤラせてくれないヤリマンが一番魅力的である」の一言に尽きる。傑作。
SadAhCow

SadAhCow