スポンサーが望んでいただろうエロ要素は足りないが、視線の向き方や背景を絡めた何気ない空気感の演出は、山下監督ならではに。GYAO!で無料鑑賞。
母親と女友達の会話の予兆。互いに風邪を引いて熱を帯びて引き合うような切っ掛けの美しさ。ドアを開けたままでのサスペンスの前兆。シークエンスの上手さだけでなく、スクロールやフレームアウトする被写体の捉え方による適切な情念の演出に感心。
母親に見つかってからはロードムービー風で、狭い世界観の中でのシュチュエーションの移り変わりがある作品のちょっとした広がりも好感。タイトな編集で、ドアの開け閉め・パンツや服の脱ぎ着で繋がる余白の上手さに感心も。
「お兄ちゃん」と呼ばれる背徳感と現実に戻される悲しさ。逃げられたかと思いきや、結局ダメな男のサガを見るようで、ダメ男の駄目さ加減が突き刺さる。
