マクガフィンさんの映画レビュー・感想・評価

マクガフィン

マクガフィン

若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

3.7

成長する仕立屋とは裏腹に堕ちていく高級娼婦。他の男のために着飾る服を仕立て続けることと、どんどん落ちぶれていく様子を直近で見守ることしか出来ない重層的な切なさが何とも言えない。フェティッシュな触覚、含>>続きを読む

デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

2.5

キャラ達の動機とマルチバース展開の相性が悪いので原因と結果が甘く、悪ノリ・メタネタ・内輪ネタについていけない。リアリティラインの揺さぶりも効果的でなく、キャラの特徴と結び付かないのにマルチバースに依存>>続きを読む

人妻猥褻事件簿 露出投稿マニア(2003年製作の映画)

3.0

ネット弁慶のような地味系眼鏡妻のリアルとネットの性のギャップが何ともいえない。夫に抑圧され、夫のダメ部下にネットの性投稿がバレて調教されるが、家に籠る専業主婦が露出調教されて解放される妙なカタルシスが>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.7

喜怒哀楽のエピソードを丁寧に紡げ、孤独な環境で邂逅して気付きを得る。三者三様だがさり気なく纏わる3人の戦争の背景が効果的に。ラストの形式的な自己の信念から利他性へ変わることが味わい深い。

あのコはだぁれ?(2024年製作の映画)

3.5

唐突的なホラー描写や不条理を積み重ねたりリフレインすることが効果的で恐怖を煽る。ドラマとホラーのパートの配分や組み合わせの巧さ、『ミンナのウタ』とオーバーラップする構成に唸らされる。

メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

2.7

作り手は、憑依した人間の業を炙り出したかったと思うが、何かが起きそうな大仰なBGMは流れるが、特に想定外のことは起きなかった。

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(2024年製作の映画)

3.5

アポロ11号の都市伝説をモチーフとし、PR活動の視点でアプローチすることに興味津々。時世に反する明るく前向きなテイストで、嘘と偽で繋いで逆手に取ったことが爽快にも。

密輸 1970(2023年製作の映画)

3.5

泥臭い人間模様や金への執着を描き、海や土地の磯臭さが匂い立つようなテイストが良く、終盤までは概ね好感。シスターフッドなのに、もっと派手に懲らしめないとカタルシスが足りなく、悪役の悪事を積み重ねたことと>>続きを読む

大いなる不在(2023年製作の映画)

3.0

物語の中心にいる、認知症が進行する藤竜也の佇まいに良さ。『1秒先の彼女』のような、水面ギリギリのあぜ道などの心象風景にハッとすることもあったのだが。
無理に小難しくしたような、認知症の症状をそのまま広
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お母さんが一緒(2024年製作の映画)

3.4

悲喜交交な会話劇で、出ハケも多いので舞台劇を映画化したことが分かる。三姉妹の長女・次女・末っ子の特徴の捉え方が良く、年齢順に掘り起こすシークエンスに感心も。結局は人の話を聞かなく、早口でまくし立て、キ>>続きを読む

キングダム 大将軍の帰還(2024年製作の映画)

3.6

ざっくりいうと『無限列車編』の同工異曲のようだが、シリーズ中での大沢たかおや清野菜名のキャラ立ちが良い者達の出番が多いのが効果的で、アツいシーンに没頭する。ドラマパートで停滞しないことも良い。原作未読>>続きを読む

先生の白い嘘(2024年製作の映画)

2.9

冒頭から奈緒の根暗な佇まいに感心するが、風間俊介の声を変えた演出はやり過ぎに。作品における男と女や大人と子供のパワーバランスに疑問も。インティマシー・コーディネーターが話題になったが、ブラジャーをつけ>>続きを読む

THE MOON(2023年製作の映画)

2.9

パニックと僅かな希望を繰り返すので、諄くてリアルさが足りないことに。センター長が無能過ぎて、差し置いて陣頭指を揮る前センター長に苦笑。様々な規律よりも個々や国際の連携が優先する世界観、終盤が冗長なのに>>続きを読む

フェラーリ(2023年製作の映画)

3.1

フェラーリの栄枯盛衰かと思いきや、最もハードな期間での人間模様をフォーカスして描くので、作中期間や世界観が小締まりした印象に。経営を立て直し、ブランドイメージを確立したことなどの知りたいことも殆ど描か>>続きを読む

YOLO 百元の恋(2024年製作の映画)

3.6

オリジナル元と比べるとコミカルを多く挟むのでテンポが悪いが、ラストはこちらの方が前向きで、希望を感じて応援したくなる。役者を入れ替えたと思ったら、同一人物で約50kgの減量に驚愕。エンドロールが面白か>>続きを読む

SALAAR/サラール(2023年製作の映画)

2.7

諄いプロットと演出でテンポが悪く、部族も多過ぎて相関関係が理解できなかった。バトルになると銃を使わないで剣で戦い合うことは韓国映画のナイフの扱いのようにも。まだ序章のようだ。

ルックバック(2024年製作の映画)

4.0

引き合っても離れても、ひたむきな想いが影響を与え合う。行き場のない不条理が襲い掛かるが、その気持ちで乗り越えられる、決意と覚悟の満ちたエピソードに感銘を受ける。原作未読。鑑賞後に購入。

数分間のエールを(2024年製作の映画)

3.2

ものづくりへの真っ直ぐな気持ちとシンプルなストーリーとの相性が良く、歌も健闘。クリエイターへのエールは心地よいが、造り直したMVも少しズレていることが惜しい。ぎこちなさや浮いたような色彩を感じるCGア>>続きを読む

言えない秘密(2024年製作の映画)

2.8

序盤のテイストや尾美としのりの配置でファンタジー設定をすぐに予見。不思議な空気感がある古川琴音は役に嵌るが、主演の演技不足、ちょくちょく挟む過剰キャラ達、冗長な終盤、説明過多さがファンタジー要素を揺る>>続きを読む

長岡大花火~打ち上げ、開始でございます~(2024年製作の映画)

2.7

前半の長岡の歴史が長過ぎで、後半の花火の意義に繋がらない構成は問題に。肝心な後半の花火シーンは画質・構図・音が良くなく、長岡花火の最大の魅力の火力の凄さが伝わってことないことが残念。リアリティを出すた>>続きを読む

クワイエット・プレイス:DAY 1(2024年製作の映画)

3.0

相変わらず緊迫感が凄いが、スケールを大きくした割にはドラマ要素で回り道をするので、逃走や脱出モノとしての醍醐味は薄れる結果に。
クリーチャーの弱点を短時間で把握できたなら如何様にも対策でき、人類が壊滅
>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.0

ヒロイン・女先生の思いとは裏腹で、学校の不寛容システムや統治システムで泥沼に嵌り、雪だるま式に膨れる模様に興味が尽きない。問題が波及したり枝割れするシークエンスと次第に秩序が崩れ息苦しくなる構成が見事>>続きを読む

ふたごのユーとミー 忘れられない夏(2023年製作の映画)

3.7

世紀末な社会で初潮を迎える双子姉妹の変革期。
瑞々しく爽やかなヒロインが魅力的で、明るいトーンで描くことに好感。タイの街並みやディティールのカラフルさも作品にマッチし、含蓄ある食事や食べ物がちょくちょ
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九十歳。何がめでたい(2024年製作の映画)

3.0

90歳の元小説家と50歳の編集者のリスタート。演じた草笛光子も90歳で、活き活きとした佇まいやバイタリティの凄さなどの魅力は伝わったが、エッセイのエピソードが日常のエピソードに劣ることが惜しい。笑い声>>続きを読む

ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)

3.3

いきなり独自の世界観に連れていかれることに抵抗があるが、丁寧に作っているからか徐々にのめり込む。太古の伝承や神話をベースにしつつ、脱出系スリラーでは珍しく明白なルールや設定があることが好みで、後に行動>>続きを読む

映画 おいハンサム!!(2024年製作の映画)

3.3

何てことない日常に独自な設定とセリフ回しが可笑しく、抑揚のあるテイストに感心。TVドラマだからかキャラ立ちが良く、濃いキャラが多いことがアクセントにもなり飽きない原因なのだが。宮世琉弥が魅力不足で、京>>続きを読む

朽ちないサクラ(2024年製作の映画)

3.5

殺人事件と内部情報漏洩の犯人捜しを並列して描くことが良く、各々のバックボーンが厚みを齎す。記者の矜持が警察の矜持に移行し、刑事と公安の対比が哲学的問答へ繋がるシークエンスに唸らされる。物語のターニング>>続きを読む

バッドボーイズ RIDE OR DIE(2024年製作の映画)

2.8

寄りの構図やカット割りが多く、終始仰々しいカメラワークに辟易。娘婿のアクションが良かったが、年下の役者にアクションを任せたり、味方側のキャラを増やすことは、主人公が高年齢化したシリーズにありがちに。過>>続きを読む

隣人ポータビリティ(2007年製作の映画)

2.9

「ギネスの女房」の続編。ひょんなことから隣人と夫を交換するが、様々な経験を通して顧みる、ルールと新興宗教に縛られる女の、さり気ないカタルシスの解放が微笑ましい。

ギネスの女房(2006年製作の映画)

2.9

お互いに最後までイケない夫婦が性質を逆手に取り、挿入最長記録のギネスへ挑戦する、凄い設定。ギネス審査員がアクセントになり、迸る汗が生々しい。悩みは人其々。

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

3.2

『蛇の道』の続編というより姉妹作に。シュールで俯瞰の映像・役者の配置・無機質なテイストにドライな銃声音・唐突な殺人やが北野武流で、独特な作品なのにオリジナリティが欠如しているようにも感じることが惜しい>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

3.7

Vシネマのザラついた画質にドライな狂気や違和感を散り交ぜたテイストのマッチさが良い。黒板や道に羅列した謎な数式、モニターのリフレイン、歪な一本道、手話や跛行も味わいを齎す。不意に登場したり倉庫で響くド>>続きを読む

蛇の道(2024年製作の映画)

3.5

羅生門効果のような展開になると思いきや、違和感を散り交ぜたヒネリがあるプロットに興味津々に。ゲスな男しか登場しなく、今作のセリフリメイクで協力者を女のセラピストに変更したことが効果的で対比の妙が際立つ>>続きを読む

ディア・ファミリー(2024年製作の映画)

3.4

試練の連続で、本来の目的から脱線しても修正してやり遂げる信念の強さに感銘を受ける。家族愛・難病・ものづくりに日本医学界の弊害を絡めることに感心も。只、適切なドラマカーブで脚色が濃いので、実話ベース要素>>続きを読む

邪魚隊/ジャッコタイ(2024年製作の映画)

3.1

ムビステなので演劇的な演出もあるが、雑多な江戸の背景との相性は悪くなく、明るく見やすいトーンに。様々なタイプの男の配置やニアBL要素を盛り込んで、ターゲット層の絞り込みに感心も。シンプルなプロットなの>>続きを読む

あんのこと(2023年製作の映画)

3.0

真面目にやっていてもどこかふざけているようにも感じる佐藤二朗と真面目だが空気読めない感じがある稲垣吾郎の配置が絶妙。境遇が最悪な女の再生の過程を丁寧に描くが、佐藤二朗と稲垣吾郎がフェードアウトしていく>>続きを読む