わち

わたしはロランスのわちのレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
5.0
いやー、暗い映画が好きな僕がこんなメロドラマに感動させられるとは!弱冠24歳の新星グザヴィエ・ドラン(ほぼ自分と同い年)恐るべし!

予告編や公式サイトからも分かる通り、まず特筆すべきはその映像や色彩へのこだわり。恐らく監督がやりたいことを詰め込んだ結果の3時間弱なので、振り返ってみると少し冗長な部分はあるものの、ストーリー全体を俯瞰して観ることを許さないほどの美しいシーンの数々に目を奪われた。それに加えて、一方が性同一性障害のカップルの10年間に、異性に対してだけではなく、もっと根源的な人間に対する愛情を垣間見ることができ、大筋は"別れる/別れない"のメロドラマでありながら、観る者の心に爪痕を残す内容も濃厚。
観る前はアート映画なのかなと少し身構えていたけれど、ストーリー自体はシンプルで(もちろん登場人物の心情は複雑ではあるが)、素直に良いと言える素晴らしい映画だった。是非とも、他のグザヴィエ・ドラン作品も観ようと思う。
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