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最愛の大地のAoのレビュー・感想・評価

最愛の大地(2011年製作の映画)
4.0
戦争を知らない世代の日本人の私には到底理解できない。どんなに感情移入をしようとしてもそれができない。どこか他人事のように引いて観ている。今までの主にアメリカやドイツが主役となる戦争映画、ましてや日本のものでもそうだった。それをアンジェリーナ・ジョリーはボスニアヘルツェゴビナで互いに対立することになってしまった恋人同士を中心に描くことで、今までとは少し違った視点で戦争・紛争とその中にいる人々のことを考え感じさせてくれた。昨日まで隣で笑っていた人から憎まれ殺される対象となる。自分は全身全霊でそれが正しいと思っているわけではないのに、たまたま産まれた血がそうだったから、疑問を抱きつつも自分と違う血の人を殺さなければいけない。
そうゆう葛藤を抱える主人公や民間人もいれば、100%正しいことだと信じて、血が違う敵を笑いながら殺す軍人たち。主題として、戦時下での永続的な女性の集団レイプの問題を掲げているが、それ以上にいろんなことを考えさせられた。重くて苦しくてもう二度と観たくないと思うけど、多くの人に観てほしい。
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