Chimpsha

殺人蝶を追う女のChimpshaのレビュー・感想・評価

殺人蝶を追う女(1978年製作の映画)
3.9
鳴り止まないハーモニカ、男女の交わりの最中に全自動でポンポン焼菓子を吐き続ける機械、ドアと窓枠で区切られた偏執的なフレーム内フレーム、さっぱり理解できない話の展開、それらすべてをダラダラと横切って最後よく分からないもののクローズアップで終わるカメラワーク。何もかもが過剰で、あまりの過剰さに収束のつかなくなった場面そのものが自壊して終わっていき、また次の場面が始まり自壊して煙を吐きながら骨になり灰になる。何だこれ?
終盤、ダラダラとしたカメラワークに呼応するように娘が部屋を横切り死へと歩み寄るカットにはまるでタルコフスキーのノスタルジアのような何の根拠もない説得力を感じたし、それが意志の力であっさり吹き消されるのも良かった。
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